【レビュー】超本格派のシミュレーションRPGを、伝説の武器モチーフの美少女たちと押井守のムービーが鮮やかに彩る『ファントム オブ キル』

◆OPムービーは押井守! 伝説の武器(の名をした女の子)を手に取りいざ、進軍!!

 パラッシュ、ティルフィング、レヴァーテイン、フライクーゲル――これらの名前にすぐピンと来た方は、『ファントム オブ キル』をプレイする運命にある。もしわからなくても、マサムネやロンギヌスという名を聞いたことがないという方は少ないだろう。そう、この『ファントム オブ キル』は、伝説の武器の名を持つ美少女たちを主人公にした、“戦略性×ドラマ”がコンセプトの3DシミュレーションRPGなのだ。

 スマホゲームは本作が第一弾というFuji&gumi Gamesは、シンガポールや韓国、中国などを拠点にする開発会社gumiと、フジテレビジョングループのベンチャーキャピタル事業会社フジ・スタートアップ・ベンチャーズによって設立された会社。なに! テレビ局とな!? とゲームファンは色めき立ってしまいそうだが、テレビ局がゲーム開発をスタートアップからサポートすることは珍しい。テレビ屋さんたちが、ようやく本腰を入れてゲームに投資をし出した――なんとも前向きな出来事である。

オープニング
▲そんな新時代を、押井守監督によるオープニングムービーが気合いたっぷりに告げる。作り込まれた世界、重厚なストーリー、伝説の武器、女の子、女の子、女の子……期待は高まる。

◆チーム次第で戦いは苦にも楽にもなる。じっくり編成しよう

 『ファントム オブ キル』はスタミナ式で、5分で1回復する「AP」を消費しながら、各章のクエストをこなし経験値を積んでいく(キャラとは別にプレイヤーのレベルがあり、そのレベルが上がるとAPは全回復する)。レアガチャには「姫石」が必要で、キャラの統合や進化、アイテムの購入などには「ゼニー」を使う。それに加え、レアな武具と取り替えられる「レアメダル」という3つのポイント要素で成り立っている。

ホーム画面
▲ホーム画面にはチームのリーダー、ロンギヌス。時間や状況によって表情を変えるロンギヌスたん、かわいい! メインのストーリークエストのほかにも、☆5ユニットのスキルを開放する「キャラクタークエスト」、特定の曜日や期間に限定開催される「イベントクエスト」も。

 ゲームの主役となるのは「伝説の武器の名前のついた女の子キャラ」で、本作ではそれを「姫」と呼んでいる。姫にはブレイド(剣)、ソルジャー(槍)、ファイター(斧)、アーチャー(弓)、バレットマージ(銃)、プリースト(杖)の6つのジョブがあり、さらに「バランス型」「生命力型」「力型」「素早さ型」等、ステータスの要となる6つのタイプが存在する。剣>斧>槍>剣という3すくみや、「弓は飛行ユニットに強い」といった相性もあり戦況ごとのチーム編成が求められる。

キャラクター
▲じ、銃ってズルくない!?と一瞬思うが、銃と杖はHPを消費することで攻撃や回復を行うためリスクも高い。闇雲に戦っていると、HPが少なくなったところにトドメを刺されてしまうなんて事態にも。

 この姫たちでチームを編成するのだが、編成にはコストが設けられておりそれを上回る編成はできない。早い話が、☆の多いレア姫をスタート直後に多く持っていても、コストがかかりすぎて全員をチームには入れられないというものだ。各姫のコストや武器、挑むクエストの内容や敵の種類等、状況に応じたチーム編成をしていこう。

パーティー編成
▲最初はやはり、どの敵にも対応できるよう剣、槍、斧の姫をそれぞれ投入し、無属性の銃や弓でサポートをし、困ったときの杖の回復系を入れるというバランス型がオススメ。飛行ユニットを1姫入れておけば、地形に関係ない高い移動力も確保することができる。

◆超タクティカルな戦闘。知力と忍耐力でスマートに敵を倒そう

 『ファントム オブ キル』の戦闘は、自軍のターンと敵軍のターンを、どちらかが全滅するまで繰り返すというシンプルなもの。網目状に区切られたフィールドを移動していくのだが、いくら移動範囲の広い飛行型だからといって、いきなり敵の中心へ突っ込むというのは自殺行為に等しい。敵が届かないギリギリの範囲を動き、敵がおびき出されたら一気呵成の決着へ――それが基本戦術だ。

バトル1バトル2
▲画面左下の「危険エリア」をONにすれば、どこまでが敵の攻撃範囲かが赤い線で表示されるので、この線ギリギリのところまで姫を進めておくと次ターンが有利に。

 フィールドにはさまざまな地形が存在し、地形によっては防御や回避のステータスがアップし戦況を好転させることもできる。また、砦や城では毎ターンHPが回復、山では移動力ダウン、崖には飛行ユニットしか入れない――といった特殊な効果もあるので、レベルの低いうちに各地形のもたらす効果を把握しておくと、その後の攻略が一気にやりやすくなるだろう。

 ユニット同士の戦いは、正面を向き合ってのタイマンバトルで、相手の背後からクリティカルヒットを狙ったり、敵を囲んでの連携技といった要素はない。だからといって戦略性が削がれることもなく、わりと序盤から手応えのある敵が出現するので、自然と“次に打つ一手”の重要性が身についてくるだろう。一度クリアしたクエストであれば、次回からはオートバトルで戦うこともできるので、戦闘に行き詰まったら前のクエストでチームのベースアップを図ることも考えたい。

バトル3バトル4
▲肝心なことをあえてキャプションに書くが、クエスト開始時に表示されるフレンドリストから1名を仲間にすることができる。フレンドはレベル高くて超強い!……のだが、戦闘への貢献度によって経験値も変わるのでフレンドに頼ってばかりではダメ。

 戦闘が終わり、経験値やゼニーを得たら姫や武器の進化を考えよう。戦闘で知恵を絞り切り、その合間にもチームの編成や育成、武具のアレコレを考えなければいけないとなると、『ファントム オブ キル』は非常に面倒なゲームに思えるかもしれない。しかし、プレイしていくうちにディテールへのこだわりに感心し、ああでもない、こうでもないといろいろ試してみたくなるだろう。ボリュームのあるゲームだが、クリアを焦らずそうした作り込みの妙を楽しみながら作品世界に没入しよう。

ムービー
▲武器のグラフィックが戦闘に反映されたり、姫ひとりひとりに豪華声優陣が充てられていたりと、アプリ容量をふんだんに使いハードウェアにも容赦なく処理を行わせる。新参メーカーのその本気度を買いたい。

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