みんなは『ファイナルファンタジー』って知ってるよね? 名前だけは知ってるよ~って人も、ちょっと聞いていって。1970年代後半から1980年代生まれのゲーム少年の多くは、この『ファイナルファンタジー』シリーズと一緒に育ってきたといっても過言ではないのね(若い子もそうかも?)。ぼくももちろんそのひとりってワケ。
小学生だったある日、おばあちゃんが本屋のおじさんから「孫にどうぞ」と1冊の本をもらってきたの。それがゲーム雑誌の別冊付録の『ファイナルファンタジーIII』の攻略本だった。今でもよく覚えている、小さくて、でも厚みのある本。小学生のぼくはゲーム大好き少年だったけど、携帯電話もインターネットもない、ましてやゲームが現在ほど社会的に認められていないそのころ、情報を手に入れるのは大変なことで、ちょっとでもゲームに関わることなら飛びついていた。だから、やったことのないその『ファイナルファンタジーIII』というゲームの攻略本も舐めるように熟読した。熟読し続けた。もし小学生のときに自由に読書感想文を書ける力があったなら、その攻略本の感想文を書いただろうってくらい読んだ。
というのも、衝撃だったのね。『ドラゴンクエスト』に代表されるように、当時のRPGの戦闘画面というのは敵を正面から見たものがほとんどだった。少なくとも小学生のぼくにとってはそうだった。そんなときに付録で見た『ファイナルファンタジー』の横からスタイルの戦闘画面は衝撃だったワケ。「この構図なら味方キャラクターもずっと見ていられる!」と感動したの。
そうしてすっかり『ファイナルファンタジーIII』に心奪われたぼくは、友達にもその攻略本を見せ、大いに盛り上がったのだった(まだ実際にゲームをプレイしたことがないにも関わらず)。そんなある日、ひとりの男が転校してくる。T君としようか。その男子もゲーム大好き少年で、なんと『ファイナルファンタジーIII』を持っていたのだ! 毎日のようにT君の家に遊びに行ったね。念願の『ファイナルファンタジー』に初めて出会えたよろこびは、そりゃあもうすごかった。誕生日にゲーム機をプレゼントされたアメリカ人の少年くらいよろこんでた。T君とはほかにもいろんなゲームを一緒にプレイしたね。なつかしい。今どうしてるだろうか……。
と、出会いの話をするだけでこんなにもセンチメンタルな気分になってしまう。それほどまでに、この年代の男子にとって『ファイナルファンタジー』というシリーズは心に深く刻まれているのだ。そして時を経て2014年9月。そんな『ファイナルファンタジー』シリーズの記憶を取り戻す物語『ファイナルファンタジー レコードキーパー』がスマホゲームとして登場した! そりゃ、やるでしょ!