映画『冷たい熱帯魚』『ヤッターマン』『片腕マシンガール』『凶悪』『極道大戦争』など、プロデューサーとして数々の話題作を手がけた鬼才・千葉善紀は、実は日本映画界有数のゲームファンだった！
家庭用ゲームを中心にプレイする千葉Pと、ゲーム雑談をしてみよう、というこのコーナー。あくまでもひとりのゲームファンとして、千葉Pが言いたい放題！
今回は、千葉P激ハマり中の『ディビジョン』。千葉P的オールタイム・ベスト出ました！
千葉善紀
日活株式会社 プロデューサー
（敬称略）
◆『ディビジョン』はいままでで最高！
――というわけで、今回は千葉さんが最もハマったという『ディビジョン』（PS4用ほか、ユービーアイソフト）です！
千葉 以前、『レインボーシックス シージ』（PS4用ほか、ユービーアイソフト）を取り上げましたけど。同じトム・クランシーシリーズとして、「次の『ディビジョン』すげーんじゃねーの？」というウワサもありつつ、実際にやりましたよ『ディビジョン』。
――この間、話題として「次は『ディビジョン』だ」とは言ってはいましたが。
千葉 僕も、ゲームをやり始めて何年も経ちますけど、これはいままでやったゲームの中でも……最高！
――おお、オールタイムベスト来ましたか！
千葉 この連載でいろいろなゲームをすごいすごいと言ってますけど、この『ディビジョン』は本当にとんでもないです！ 僕自身、こんなに真面目にゲームをプレイしてるのは久しぶり。しかも平日に（笑）。時間があっという間に経ちます。
僕の周りの大人たちのハマりかたもすごいんですよ。わりと飽きっぽい人が多いんだけど、これだけは「千葉さん、いつやりますか！」とか言ってくるし、みんな真面目にオンラインに入ってるんです。
――今回はまた熱いですねぇ。
千葉 『ディビジョン』のシステムは、何かに似てるなと思ったら、『ボーダーランズ』（PS3/Xbox 360用、テイクツー・インタラクティブ・ジャパン）に似てますね。武器を拡張していってロールプレイングゲームの要素もあって、CO-OPプレイで友だちと一緒に戦って、経験値を上げて、しかもそのすべてが細かく数値化されている。かなり似てるんですよ。
――千葉さん、『ボーダーランズ』好きそうですねぇ（笑）。荒廃した砂漠世界で、いわば狭間の時期に『マッドマックス』シリーズ的な世界をやってたゲームですし。
千葉 まあ『ボーダーランズ』では一人称だし、クルマを運転できる、という大きな違いはありますけど。
一方で、『ディビジョン』の舞台は、リアルなニューヨークの街だというのが大きいです。リアルな街で、リアルな人間の戦いですから。そこに『ボーダーランズ』の緻密な設計を持ってきた。いいとこ取りですよ。
もうひとつ違うのは、『ディビジョン』の三人称視点だと、衣装がちゃんと分かるんですよ。いろいろな服を拾えて着替えることができるのが、実は面白い。
――そういう意味では、やっぱりロールプレイングゲームなんですよね。アクションシューティング・ロールプレイングゲーム。
千葉 僕はロールプレイング要素のあるゲームって実は『ボーダーランズ』しかやったことないので（笑）、自分にとっての元祖だったりもするんですよ。ロープレのゲームって、剣を拾ってそれを強化していって皆でモンスターと戦うんでしょう？それがリアルな世界で対人で行われるという激ヤバに素晴らしいゲームです（笑）
――それ、相当珍しいですよ（笑）。
千葉 まあ、『ボーダーランズ』は、それはそれで素晴らしいので、ぜひプレイしてみて欲しいです。
▲収録時の千葉Pの装備。さりげなく『レインボーシックス シージ』限定コスチューム。
◆ニューヨークを安ホテルまで再現!?
――この『ディビジョン』で、勘違いされがちなのは、基本的にはプレイヤー同士の対戦ではない、という点ですね。
千葉 基本はCO-OPプレイで、協力です。ただ、このゲームのすごさは、実は協力ではない「ダークゾーン」にある、とも言えますけど（笑）。
ベースにはストーリーモードがあって、クリアしていくことで経験値が上がっていきます。それをすべてCO-OPプレイで進めていけるのが魅力ですね。
正直言って、この『ディビジョン』が出てしまった以上、これからのゲームはみんなこのシステムになっていくしかないんじゃないか、というくらい魅力的なゲームなんですよ。
ただし、プレイ中でも何でも、サーバは落ちます（笑）。
――確かに、サーバだけはガンガン落ちますね（笑）。
千葉 こないだの日曜の昼間なんか、まったく入れませんでした。サラリーマンには優しくない（笑）。
――さて、じゃあまずは千葉さんにプレイしてもらいましょう。セーフエリアにはたくさん人がいますけど、これ全部プレイヤーなんですね。
千葉 そう。彼らとチームを組んでプレイすることもできるわけです。まあ、僕は知らない人とはあんまりやりたくないので組みませんけど。
――相変わらず野良オンラインプレイが嫌いですねぇ（笑）。ちなみに千葉さんは本物のニューヨークに行ったご経験は？
千葉 あります。この『ディビジョン』のニューヨーク再現度はすごいですよ。タイムズ・スクエアなんかそのまんま。僕の後輩が泊まった、めちゃくちゃな安ホテルまであります。そこはもうホントにヒドいとこで、マフィア映画に出てくるような、いかにも売人とか泊まってそうなホテルなんだけど（笑）。
――かなり細かいところまで作りこまれてる、ということですね。
千葉 あっ、なんかどこかから撃たれてる。コノヤロ、排除してやります。
――遭遇戦ですね。街中でヤカラに襲われました。
千葉 何か強いぞ!? しかも急に後ろから撃たれた！ 挟み撃ちくらってます。
――千葉さん、頑張ってカービン銃で応戦してます。ヘッドショットしまくり。
千葉 このゲーム、狙撃できるマークスマンライフルがめっちゃ強いんですよ。オススメです。
っと、敵にもスナイパーいる！ レベルが上がってくると、街中にもスナイパーがかなり出てくるんですよ。光ったら撃って来るから注意。ゲームのスナイパーの基本は、夜でもいったん光ってから撃ってくる、です（笑）。
◆「バットと斧は銃より強い！」
――まさにニューヨークの街中での市街戦ですねぇ。物陰に隠れながら撃つ、カバーリングアクションもいい感じですね。
千葉 そう、これはTPS（三人称視点）ならではの面白さですね。
よし、やっつけました。NPCの味方も街中にいるんですけど、コイツらがまた「お前がいなくても勝てた」とか生意気なことを言うんですよ（笑）。あとは、ニューヨークの街中で大阪弁をしゃべり出したり、寄ってきた市民に物資をあげないと「このケチ！」とか悪態をつくんですよ（笑）。
――ある意味、ニューヨークっぽいと言えばニューヨークっぽい（笑）。
千葉 行ったことある人は分かると思いますが、NYって日本の上野なんですよね。田舎者が皆空を見上げて歩いていますよ（笑）あっと、今度は物資防衛戦が始まっちゃいました。ひとりで戦うのか……。
――大丈夫、NPCの味方もいますから。
千葉 アイツらが役に立ったの、見たことないですよ（笑）。まあいないよりはいたほうが心強いし、ターゲットにはなってくれます。囮です（笑）。
――千葉さん、ヘッドショット決めまくってますね。
千葉 ヘッドショットは『ゾンビアーミー』でやりまくりましたからね。マークスマンライフルは使えますよ。
あー来た！ 盾と斧のヤツ、こいつとバットのヤツはヤバいんですよ！ 何度コイツらに殴り殺されたか。いろんな敵がいるんですけど、このゲームではバットと斧が一番強いです。
皆さんも、街でバットと斧を持ってる人がいたら、ソイツは銃持ってるヤツより強いですから、逃げてください。特にニューヨークは本当にバットが危ないです！ 火炎放射器なんか逃げれば追ってこないけど、バット野郎はどこまでも追っかけてくるんですよ！
――何言ってんですか（笑）。
▲ニューヨークの街中で斧男に襲われる千葉P。
◆今回も千葉Pが野良オンラインにデビュー！
――じゃあ、ちょっとミッションのオンラインプレイをしてみましょうよ。いつも通り、クイックマッチメイキングで、野良やりましょう。
千葉 じゃあやってみますか……。おっ、入った。もういきなり撃ち合いしてるじゃないですか。ちょっと集中しないと。
いやー、でもこれ、やってるとホントに時間を忘れますね。アッという間に4時間とか5時間が過ぎるんですよ。朝の4時とかまでやって、そのまま会社に行かないといけない（笑）。
――その時間感覚、社会人としてはいかがなものかと思うんですけど（笑）。
千葉 よーし、いいぞいいぞ。火炎放射器の敵とか、背中のボンベを撃つと引火して爆発してくれるのが最高ですね。
――おっと、やっている最中に仲間が増えましたね。いかにも野良っぽい。
千葉 ただ、仲間が増えたってことは、敵も増えるんですよ（笑）。あんまりありがたくもないんですけど（笑）。
結構長いミッションもあって、ひとつに1時間半かかったりすることもあるんです。やっと終わったかなと思ったら、またゴマンと敵が出てきたり。ホント、やめどきが分からないですよ。
――これは確かに……おーっと、いきなりやられた！ スナイパーですよ！ って、ボーっとしてたら山のような敵に囲まれた（笑）。
千葉 えーっ、いまやられたのは話しかけられたからだから！ いいとこで話しかけないで！（笑）
――いやいや、トーク収録中です（笑）。
千葉 これをカミさんにやられると「なぜいま!?」って腹立つんですけど、まあ答えないわけにはいかない（笑）。話しかけられてもカミさんには文句言えません（笑）。
――あ、仲間が蘇生してくれました。仲間さえいれば、けっこうその場で復活できるのが面白いところですね。
千葉 そうそう、じゃあエモートで敬礼して……無視された（笑）。
この通り、ホントに面白くてしょうがないんですよ。あとはサーバが良ければと思うけど、それでもやめられないくらいやってますからね。
◆ダークゾーンで人の心に触れる!?
――じゃあ最後に、ダークゾーンを覗いてみましょうか。
千葉 よーし、じゃあ行きますか！ やっぱり緊張感あるなぁ。
ここダークゾーンでは人間同士が戦えるんですけど、人を傷つけたらお尋ね者扱いになるマークがついて、全員から狙われるようになるんですよ。それでも、ここではいいアイテムが手に入るので、アイテムの取り合いが発生するんです。
このダークゾーンの発想は最高ですよ。敵も強いし、いつ後ろから知らない人に撃たれるか分からない。友だちと連れ立って行きたいんだけど、同じレベルになっていないと一緒に行けない。よくできてます。
――おお、ゾーンに入ったらいきなり敵が何かを爆破してますね。
千葉 ダークゾーンの敵は、とんでもないのがゴロゴロいますよ。ここは市民も立ち入り禁止なので、圧倒的に殺伐としてます。
誰か、プレイヤーが敵とやりあってますね。ちょっと加勢するか……。おお、なんと4人チーム。エモートしてみようかな……ちゃんと返してくれた！ いい人たちです。
――レベル帯としては、このチームより千葉さんのほうが少し上ですね。頼りにされそうです。
千葉 だからってこっちが上手いと思うなよと（笑）。こっちはゲーマーじゃなくて、ただのゲーム好きだから（笑）。
――ゲーマーではありますよ（笑）。
千葉 これで間違ってこの人たちを撃っちゃうと、今度は僕がお尋ね者になって、彼らに狙われます。
っと、敵が出た、危ない！ ダークゾーンは、しゃべりながらやれるところじゃないですね（笑）。
――後ろからも敵！ 挟まれてますよ！
千葉 これはヤバい。このゲーム、ものすごく目が乾く（笑）。ダークゾーン、めっちゃ面白いです！
よーし、うまくアイテム拾えました。これで回収ポイントに行くかな。ここで拾ったアイテムは、ヘリに載せられて始めて回収ですからね。
……ん？ これどこだ……あっ、隠しセーフゾーン！ 彼らのおかげで初めて知りました！
――野良もいいものですね。
千葉 チームも回収ポイントに行ってくれるみたいですね。いい人たちだなあ。
――さあ、フレアを撃ち上げたので、1分半の防衛戦ですね。
千葉 この時間がドキドキですよ。ここでやられちゃうと、武器もロストになりますから、泣くに泣けない。あああヤバい、ヤバい、危ない……ああー、応戦してる間にヘリ行っちゃった！ 間に合わなかった……。おこぼれに預かれませんでした（笑）。
――残念ながら、もう一度自分でやるしかないですね。
千葉 さあ、じゃあひとりで守り切れるか……、あれ、なんかさっきのチームの人がまだいますね。……殺しに来た？
――ひょっとして防衛してくれるんじゃないですか？
千葉 このゲームの世界で？ 僕の知り合いなんか、優しい顔して最後にバーンと撃ってくる人ばっかりですよ（笑）。『GTAオンライン』（PS4用ほか、ロックスター・ゲームス）にはそういう人しかいませんでした。
――いや、なんかちゃんと守ってくれてますよ！
千葉 おお、回収成功。いやー、マジでいい人に巡り合いましたね。やっぱりこのゲームはすごい！ アッという間に時間が経ってます。さっきも言った通り、過去最高のゲームだと思いますよ。
PS4を持っていて『ディビジョン』をやらないのは、大きな損失です！カムロチョウとか、行ってる場合じゃないんですよ、NYを防衛しないと！
――いやー、面白かったですね。ちなみに、告知しておきたいことはありますか？
千葉 もうすぐ『日本で一番悪い奴ら』という映画が公開されるので、それをぜひ。実際の北海道警であった汚職警官の話を映画化したもので、めちゃくちゃ面白いと思いますよ。
――もう予告も始まっていて、かなり話題ですね。
千葉 ありがたいことに、かなりザワザワしてもらっていますね。主題歌はKen Yokoyamaと東京スカパラダイスオーケストラです！ Ken YokoyamaはHi-STANDARDの頃を含めて、日本語で歌うのは初めて。映画もかなりいいですよ。主役の綾野剛が、もうとんでもないことになってますからね！
映画『日本で一番悪い奴ら』 公式サイト http://www.nichiwaru.com/
（2016年3月収録）
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