松竹、コロナ禍による映画や舞台の延期や中止で営業損失37億円 2021年2月期第3四半期決算

松竹

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で劇場の座席数を制限。不動産事業が収益に貢献も、映像関連事業や演劇事業の苦戦で大きな損失を計上。

松竹株式会社(以下、松竹)は、2021年2月期第3四半期決算短信(連結)を1月14日(木)に発表した。当第3四半期連結累計期間は、売上高367億2300万円(前年同期比50.2%減)、営業損失37億3200万円(前年同期は営業利益38億4000万円)、経常損失41億円(前年同期は経常利益35億5700万円)親会社株主に帰属する四半期純損失は98億2700万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益22億7500万円)だった。

松竹 決算

経営成績に関する説明

映像関連事業
配給は、3月に公開した「Fukushima 50」が、映画館の休館の影響を受ける厳しい状況での公開だったが、営業再開後にも上映する映画館が多く、長期間に渡る上映となった。8月公開の「事故物件 恐い間取り」に関しては、若年層を中心に幅広い層に支持され、9月公開の京都アニメーションの最新作「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」もロングラン上映となる大ヒットを記録した。

興行は、株式会社松竹マルチプレックスシアターズにおいて、6月以降、感染予防対策のガイドラインに従い、席数の制限、場内の換気、サーモグラフィーによる来場者の体温確認、アルコール消毒液の設置など、感染防止対策を行なったうえで営業を再開した。7月以降は、徐々に来場者が映画館に戻りつつあり、10月には「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の大ヒットにより高稼働となった。

テレビ制作や映像ソフト、テレビ放映権販売は、堅調に推移した。

CS放送事業などは、松竹ブロードキャスティング株式会社にて、競合となるインターネット動画配信サービスが、コロナ禍による巣ごもり需要で勢いを増しており、多チャンネル放送市場はますます厳しい状況にあるが、特色のある番組編成を強化することで、収益確保につとめた。

上記の結果、売上高は226億4000万円(前年同期比46.1%減)、セグメント損失は21億4500万円(前年同期はセグメント利益20億3300万円)だった。

演劇事業
松竹直営劇場では、引き続き50パーセント以下での客席使用率を維持し、来場者の安全と安心に配慮した興行を行なった

歌舞伎座は、3~7月まで公演中止となったが、「三月大歌舞伎」を無観客で映像収録し、動画共有サイトで無料配信したところ、好評を博したとのこと。5~7月に予定していた「十三代目市川團十郎白猿襲名披露興行」は延期になった。「八月花形歌舞伎」から感染予防対策のガイドラインに従い、万全の体制のもと、初の四部制として、公演を再開した。

「九月大歌舞伎」と「十月大歌舞伎」、11月の「吉例顔見世大歌舞伎」についても引き続き四部制公演、各部毎の座席消毒等の感染予防対策を徹底し、千穐楽まで感染者をだすことなく、興行を打上げることができた。

シネマ歌舞伎に関しては、緊急事態宣言解除後の映画館の再開に伴い、月イチ歌舞伎2020の上映を開始し、10月に新作「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」を公開した。

METライブビューイングについては、8月~9月にかけて夏のアンコール上映を4都市で開催した。2020-21シーズンは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ニューヨークでの全公演が中止となり、METライブビューイングの上映も中止になった。

インターネットを利用した映像配信では、「図夢歌舞伎」が話題となったほか、「歌舞伎夜話」「紀尾井町夜話」がシリーズ化され好評だった。

上記の結果、売上高は44億800万円(前年同期比79.4%減)、セグメント損失は27億1700万円(前年同期はセグメント利益3億6500万円)だった。

不動産事業
不動産賃貸は、歌舞伎座タワー、築地松竹ビル(銀座松竹スクエア)、東劇ビル、新宿松竹会館(新宿ピカデリー)、有楽町センタービル(マリオン)、松竹倶楽部ビル、大船ショッピングセンター、新木場倉庫などの満室が続き、全体でも高い稼働率で安定収益に貢献した。

4月には浅草六区松竹ビルが竣工し、5月より賃貸を開始した。また、各テナントとの賃料交渉にも誠実に対応し、安定的に利益を確保した。

上記の結果、売上高は88億7000万円(前年同期比1.9%増)、セグメント利益は40億8300万円(同7.7%増)となった。

その他
プログラム・キャラクター商品は、劇場プログラムやキャラクター商品は映画館の営業再開以降に公開された「弱虫ペダル」「事故物件 恐い間取り」「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」「TENET テネット」などで、キャラクターや出演者へのコアなファンにも支えられ収益に貢献した。

イベント事業は、イベント自体のキャンセルや延期が続き、厳しい状況だったという。

小売、飲食店舗事業では、休業もしくは感染症対策下での運営が続いたことで厳しい状況になった。「松竹歌舞伎屋本舗」事業では実店舗での集客が厳しい中、通信販売などで売上を伸ばすことができた。

上記の結果、売上高は8億400万円(前年同期比51.7%減)、セグメント損失は7億100万円(前年同期はセグメント損失1万円未満)という結果だった。

関連サイト

松竹株式会社公式サイト
2021年2月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

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