編集部シライシです。
今日は『Hearthstone: ハースストーン』の話。
トレーディングカードゲーム(TCG)をオンラインに最適化し、新しいストラテジーカードゲームの世界を切り開いた作品『ハースストーン』。世界的にヒットしているこのタイトルに、ちょっと珍しい、いやむしろTCGとしてはあるべき姿、な感じの新ルールが導入されます。その名も「スタンダード」ルールです。
詳しくは、下記の公式サイトのページをご参照のこと。
Heathstone: ハースストーン公式ゲームサイト
「新しいプレイ方法」
「スタンダード環境」という言い方でピンと来る人は、おそらく『マジック:ザ・ギャザリング』(以下、M:tG)などのリアルTCGに慣れたプレイヤー。スタンダード環境は、もともと『M:tG』で導入された考え方なのです。
これ、ざっくり言うと、「ベーシックカードと最新のブースターだけでデッキを作って、なるべく平等に勝負しよう!」というもの。カードを買い足してデッキ(手札)を作っていくTCGでは、初期からのプレイヤーのほうがカードを多く持っているので、ときに「もうあのカード、手に入らないじゃん!」というのが決定的な差になってしまう可能性もあるんです。そうなったら、新規にスタートするプレイヤーは、なかなか古参に勝てない状況になってしまうわけですね。
この「スタンダード」環境の導入は、それを避けるひとつの解答でもあります。
▲もう入手できないパックが最強だったら、新パックを開ける楽しみもちょっと減りそう。
この“カード資産の差”をどうするかは、実はTCGにとって永遠の課題。特に、ヒットしたTCGは何弾もの追加パック(ブースター)が発売されるので、カードの能力がインフレして古いカード資産が無意味化するか、新規プレイヤーが永遠に古参に勝てない状況のまま進行するか、どちらかに陥ってしまいがちなんです。
特に『ハースストーン』は、1ダメージが重要な、とてもガッチリしたバランスのゲームなので、簡単にはカード能力をインフレさせられない。そこで今回の「スタンダード」環境の導入、となったわけですね。
『ハースストーン』における「スタンダード」環境は、“土台となる基本とクラシックのカードセット(この2種類は常に使えます)と、その年と前年にリリースされた新しいカードのみ”となります。具体的には「ナクスラーマスの呪い」と「ゴブリンvsノーム」のパック分は「スタンダード」では使用不可と発表されています。
もちろんただ全部使えなくなるわけじゃなく、いままで通り全カードを使える「ワイルド」ルールもあるので、ひと安心。「ワイルド」環境の人は「ワイルド」環境の人とだけマッチングされるので、そこの不平等もないはずです。
▲「ナクスラーマスの呪い」も「ゴブリンvsノーム」も、いま現在は入手可能。
実はこの「スタンダード」環境の導入は、ソーシャルゲーム以降、スマートフォンゲームに至るまでの日本のゲーム文化の中では、かなり珍しい例です。言わば「過去の重課金はチャラにできるルールを採用」ってことですから。日本のプレイヤーの反応を想像すると、絶対ブーイング出ますよね。
でも、よく考えると、たいがいのゲームではこの“資産の差”問題を、インフレで解決しています。現在のロングランタイトルを振り返っても、2年前のガチャ産がいまのガチャ産に大きく見劣りする、なんてことはザラですからね。
加えて『ハースストーン』の場合、基本的には、課金購入しなくとも、すべてのカードが(理論上は)入手可能、というのも、「スタンダード」環境を導入しやすかったポイントでしょう。
▲最新カードは当分の間使えるので、迷わず購入できるかも。
今回の新ルール導入で、『ハースストーン』は完全に“長く続けるTCG”としての舵を切りました。インフレではなく、バランスを取り続けたままで対戦プレイをさせる、という判断は、短期的な売り上げよりゲームのフェアネスを重視するアメリカのTCG文化らしいと言えるかもしれません。
「スタンダード」ルールの導入は、今年の春の予定。というわけで、これから新規参入する人も、安心して『ハースストーン』に飛び込んでみたらいいと思いますよ!
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