副事業でも2期連続で前期比150％の成長。新型コロナウイルス感染症対策の事業最適化で特別損失を計上
株式会社デジタルハーツホールディングスは、2020年3月期決算（連結）を5月19日（火）に発表した。当連結会計年度の売上高は211億3820万円（前期比9.8％増）、営業利益は13億9406万円（同13.2％減）、経常利益は13億7237万円（同16.9％減）、親会社株主に帰属する当期純利益は7億9213万円（同49.7％減）だった。
経営成績に関する説明
当期は、副事業であるエンタープライズ事業の基盤強化及び成長スピードをより一層加速させるための取り組みを推進してきた。具体的には、テスト自動化に関する高い技術力、及び豊富な実績を持つ企業の子会社化を通じて、テストエンジニアの増強や専門性の向上をはかり、デジタルハーツグループと相互補完的な技術やノウハウを持つ企業とのアライアンスを積極化させることで、営業力の強化やサービスの拡充につとめたとのこと。
売上については、エンタープライズ事業が前期比1.5倍以上の成長を達成したことで業績をけん引した。
利益面では、エンタープライズ事業が第2四半期会計期間以降、四半期ベースで営業黒字を実現したが、M＆A関連費用や経営基盤構築にかかわる費用が増加したことにより前期比で減少した。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、経済の長期低迷リスクや働き方の変化を鑑み、拠点の稼働バランス最適化の一環として、テストセンターである新宿Lab.の閉鎖やベトナム拠点の統合を決定し、これらの拠点整理に伴う費用を特別損失として計上した。
セグメント毎の業績は以下。
エンターテインメント事業
コンソールゲーム、モバイルゲーム、アミューズメント機器のデバッグ、ゲームの受託開発、プロモーション活動支援などのサービスを提供している。
当期のデバッグサービスでは、コンソールゲーム向けのサービスにて積極的な営業活動が奏功し、多数の大型タイトル案件の獲得が進み、売上高2桁成長を実現した。
また、厳しい市場環境が続いていたアミューズメント機器業界では、顧客企業における新台開発が復調傾向にあり、これらの新台開発に係るデバッグニーズを確実に取り込むことで、大幅な増収を達成した。
近年増加するグローバルサービスの需要に対応することを目的に、台湾にLINGUITRONICS Co., Ltd.との合弁会社を設立するなど、ゲームの翻訳やローカライズサービスの提供体制を強化した。
クリエイティブサービスでは、2Dや3Dグラフィック制作に対する需要は底堅く推移した一方、ゲーム開発案件は顧客企業におけるモバイルゲームの新規タイトル数が激減したことにより、売上が大幅に減少した。
メディア及びその他のサービスでは、日本最大級の総合ゲーム情報サイト「4Gamer.net」において、独自取材による付加価値の高い情報のスピーディな配信につとめ、メディアとしての価値の向上をはかってきた。カスタマーサポートサービスでは、順調に案件を獲得したことから増収となった。
上記の結果、売上高は161億1593万円（前期比1.0％増）、セグメント利益は29億6442万円（同4.0％減）だった。
エンタープライズ事業
システムテストサービスでは、主にエンタープライズシステムの不具合を検出するサービスを提供しており、テスト自動化に関する知見及び豊富な実績を有するLogiGearグループを2019年8月に連結子会社化した。それにより、同社がベトナムに有する豊富なテストエンジニアの日本市場への活用に向けた準備を進めるとともに、既存グループ会社と連携し、テスト自動化に関する提案営業を開始するなど、日本市場開拓に向けた取り組みを推進してきた。
また、株式会社パソナテックと協業し、統合基幹業務システム「SAP S/4HANA」の導入支援サービスの提供開始に向けた準備を進めた。
ITサービス・セキュリティサービスでは、システムの受託開発サービスが好調に推移するとともに、セキュリティサービスにおいて大手企業向け・中小企業向けサービスそれぞれの新規案件獲得が進み、大幅な増収となった。
2019年11月には、国内セキュリティ大手の株式会社ラックと合弁会社を設立し、デジタルハーツHDのアライアンスパートナーであるアメリカのセキュリティベンチャーSynack社が提供するクラウドソースペネトレーションテストサービスの販売体制を強化した。
上記の結果、売上高は50億2226万円（前期比52.1％増）、営業損失は6711万円（前期は営業損失2億2649万円）だった。
関連サイト
株式会社デジタルハーツホールディングス公式サイト
2020年3月期決算短信〔日本基準〕（連結）
2020年3月期決算説明資料
