EC事業で初めて四半期利益が黒字化。エンターテインメント事業に関する新型コロナウイルス感染症の影響はほぼなし。
株式会社エイチーム(以下、エイチーム)は、2020年7月期第3四半期決算(連結)を6月12日(金)に発表した。当第3四半期連結累計期間における売上高は244億円(前年同期比12.9%減)、営業利益は10億5100万円(同51.7%減)、経常利益は10億3300万円(同52.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3億8400万円(同134.9%減)だった。
経営成績に関する説明
2020年7月期第3四半期連結累計期間の売上高については、ライフスタイルサポート事業が前年同期比で横ばいとなり、EC事業が大幅に増加したが、エンターテインメント事業が減少したことで、全体では前年同期比で減少した。
営業利益と経常利益については、EC事業が初めて四半期で営業利益が黒字化するなど収益性が改善したが、エンターテインメント事業の新規協業ゲームの開発コストの費用計上と、ライフスタイルサポート事業の新規事業への先行投資により、前年同期比で大幅な減少となった。
親会社株主に帰属する四半期純利益については、当第3四半期連結会計期間において、Increments株式会社に係るのれん、商標権の減損損失を計上したことで、前年同期比で減少した。
セグメント毎の詳細は以下。
エンターテインメント事業
2020年7月期第3四半期連結累計期間においては、Steam版『ヴァルキリーコネクト』をリリースし、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社と協業のスマートフォン向けカジュアルゲーム『初音ミク-TAP WONDER-』の制作のほか、大型IPゲームの開発に注力してきた。
既存ゲームは引き続き減少傾向にあり、前年同期比で減収となった。
セグメント利益についても、新規開発中の大型IPゲームの開発コストを費用計上したことで、前年同期比で大幅に減少した。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うゲームユーザーの動向変化や、新規開発進捗への影響はほぼないと考えている。
上記の結果、売上高は60億4400万円(前年同期比40.2%減)、セグメント利益は4億1000万円(同67.4%減)だった。
ライフスタイルサポート事業
2020年7月期第3四半期連結累計期間について、売上高は前年同期比で横ばいとなり、セグメント利益では複数の新規サービスにおける投資費用が先行したことにより、前年同期比で減少となった。
売上高については、引越し周辺サービスとして展開していたエアコン販売のサービス撤退により、前年同期比で成長率が低下した。新規サービスが立ち上がってきているものの、既存サービスの売上規模に比べて、業績への寄与はまだ限定的とのこと。
新型コロナウイルス感染症による影響は、デジタルマーケティング支援ビジネス及びプラットフォームビジネスで顕著に出ており、デジタルマーケティング支援ビジネスにおいては、結婚式場情報サイト「ハナユメ」を中心とするブライダル関連サービス、「ナビナビキャッシング」を中心とするキャッシング・カードローン比較サイト、クレジットカード比較・情報サイト「ナビナビクレジットカード」などの金融関連サービスで大きく影響を受けた。
「ハナユメ」では、緊急事態宣言による自粛要請に伴い対面接客を行なうウエディングデスクの来店者数が大幅に減少し、ウエディングイベントの定期開催の中止などもあり、利用者数が大幅に減少した。現在は「ハナユメオンライン相談」を展開し、オンラインでの結婚式場探しのサポートを強化している。
「ナビナビキャッシング」「ナビナビクレジットカード」などは、送客先クライアントの勤務体制の見直しによる申込業務の遅延を勘案し、送客件数を抑制したことで、利用件数が大幅に減少した。
プラットフォームビジネスでは、プログラマ向け技術情報共有サービス「Qiita」の広告需要が減少したほか、立ち上げ段階にあるエンジニア向け転職支援サービス「Qiita Jobs」の事業展開に遅延が生じた。
一方、引越し周辺サービスとして展開していたインターネット回線の紹介サービスは在宅勤務実施に伴いニーズが増加し、好調に推移した。
上記の結果、売上高は161億3600万円(前年同期比1.5%減)、セグメント利益は17億8300万円(同24.2%減)となった。
EC事業
2020年7月期第3四半期連結累計期間においては、オペレーション効率の改善、販売費や配送費の見直しなどが奏功し、売上高が前年同期比で増加、セグメント利益も大幅に改善した。そして、第3四半期連結会計期間において、初めて四半期黒字化を実現した。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、中国からの自転車及びパーツ輸入に遅延が生じたが、主に電動アシスト自転車などユーザーニーズの高い商品の在庫を十分に確保したことで、繁忙期需要に対応することができた。自粛要請に伴い、「三密」を避ける外出手段として、自転車の需要が高まったことが追い風になったと想定している。
上記の結果、売上高は22億1900万円(前年同期比44.6%増)、セグメント損失は5200万円(前年同期はセグメント損失1億6600万円)となった。
関連サイト
株式会社エイチーム公式サイト
2020年7月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
2020年7月期第3四半期決算説明資料