新作TCG「Reバース for you」やアプリゲームの貢献でデジタルIP事業は増収増益。「バンドリ!」の通期売上が100億円を突破。
株式会社ブシロード(以下、ブシロード)は、2020年7月期決算短信(連結)を9月14日(月)に発表した。当連結会計年度の経営成績は、売上高330億3万円(前期比2.6%増)、営業利益27億1054万円(同11.4%減)、経常利益27億5530万円(同9.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益15億5110万円(同13.8%減)だった。
経営成績に関する説明
デジタルIP事業
当期におけるデジタルIP事業のうち、TCG(トレーディングカードゲーム)部門は、新しいTCGブランドとして、オリジナルIPを中心に自社他社IPを取り入れながら展開するハイブリッド型TCG「Reバース for you」を2020年3月に発売した。オリジナルIPのTCG「カードファイト!! ヴァンガード」、及び自社他社IPを取り入れて展開するプラットフォーム型TCG「ヴァイスシュヴァルツ」は前期並みの売上を維持したが、展開終了を発表した低年齢層向けオリジナルIPのTCG「バディファイト」の売上減少が大きく影響したことで、部門全体では軟調に推移した。
MOG(モバイルオンラインゲーム)部門は、新しいアプリゲームとして、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(2019年9月配信開始・他社IP・他社配信)』『ヴァンガードZERO(2019年12月配信開始・自社IP・自社配信)』『ロストディケイド(2020年2月配信開始・他社IP・自社配信)』が好調な滑り出しとなった。加えて、堅調に推移した『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(自社IP・他社配信)』をはじめとする既存アプリゲームの積み上げにより、部門全体では大きく伸長し、過去最高の年間売上を記録した。
MD(マーチャンダイジング)部門は、上期において、音楽ライブでの会場物販や通販などライブ関連グッズが大きく伸びたことに加え、オリジナルカプセルトイブランド「TAMA-KYU」の好評で順調に推移した。
一方、下期では、新型コロナウイルス感染症の影響で、中国で生産する商品の製造や納品が一時的にストップした他、リアルイベントや店頭での販売機会の減少により、売上規模が縮小した。
メディア部門は、2020年2月に株式会社響を株式会社ブシロードムーブに商号変更し、“A First MOVE(先手を打つ)”を企業理念に掲げ、広告代理店事業と音響制作機能を強化した。6月には株式会社リンガ・フランカの株式を取得し、持分法適用関連会社化することで、電子コミック形態でのコンテンツ展開やメディアミックス機能の拡充をはかった。
上記の結果、売上高244億1319万円(前期比4.3%増)、セグメント利益19億6282万円(同3.2%増)となった。
ライブIP事業
当期のライブIP事業のうち、音楽部門は、新型コロナウイルス感染症の影響で、下期に開催を予定していた音楽ライブや舞台を中止または延期、オンラインでの開催に切り替えるなどの影響があったが、会場とライブ・ビューイングをあわせて2日間で58584人を動員した「Rausch und/and Craziness」をはじめ、上期に開催した音楽ライブと通期で続伸した音楽ソフトの売上の貢献で、前期を上回る年間売上となった。また、他部門を含めた「バンドリ!」IP全体の通期売上が初めて100億円を突破し、ブシロードが目標としている、最初の「年商100億円以上のIP」となった。
スポーツ部門の主たる柱である新日本プロレスにおいては、2日間で70071人を動員した東京ドーム2連戦興行「WRESTLE KINGDOM 14」の成功をはじめ、2020年2月までは2019年度を上回る水準で推移した。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、3月から6月の殆どの興行を中止または無観客興行への切り替えを余儀なくされ、7月以降に関しては、通常の3分の1から2分の1程度の観客動員での有観客興行を再開したものの、売上並びに収益は一転して大きく悪化した。
一方、動画配信サービス「新日本プロレスワールド」は10万人規模の有料会員数を維持しており、通期で安定した売上と収益を計上している。
事業展開については、新日本プロレスのアメリカ進出の次のステップとして、「NEW JAPAN Pro-Wrestling of America Inc.」を2019年11月に設立し、12月には女子プロレス団体「スターダム」の事業を譲り受けた。一方で、キックボクシングブランド「KNOCK OUT(ノックアウト)」は、2020年6月に事業を譲渡した。
上記の結果、売上高85億8683万円(前期比2.0%減)、セグメント利益7億2485万円(同39.6%減)となった。