コロナ禍の厳しい状況で収益が激減。映画館や劇場では席数50%制限などで営業を再開。
松竹株式会社(以下、松竹)は、2021年2月期第2四半期決算短信(連結)を10月15日(木)に発表した。当第2四半期連結累計期間は、売上高197億1300万円(前年同期比60.8%減)、営業損失36億2200万円(前年同期は営業利益33億2600万円)、経常損失38億6500万円(前年同期は経常利益31億7500万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失94億8600万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純利益20億4700万円)だった。
経営成績に関する説明
映像関連事業
当四半期期間の配給は、邦画5本、洋画2本、アニメ8本、シネマ歌舞伎、METライブビューイング、松竹ブロードウェイシネマを公開した。
3月公開の映画「Fukushima 50」は、映画館の休館による影響を受けての厳しい状況での公開となったが、営業再開後にも上映する映画館が多く、長期間に渡る上映となった。8月に公開した「事故物件 恐い間取り」は若年層を中心に幅広い層に支持され、大ヒットを記録した。
興行は、株式会社松竹マルチプレックスシアターズにおいて、6月以降、感染予防対策のガイドラインに従い、席数を50%に制限して、場内の換気、サーモグラフィーによる来場者の体温確認、アルコール消毒液の設置などの感染与蔵対策を行なったうえで営業を再開した。
テレビ制作は、地上波にて、時代劇スペシャル「桶狭間」、2時間ドラマ「刑事アフター5」、連続ドラマ「恐怖新聞」などの受注制作を行なった。
映像ソフトは、「引っ越し大名!」「男はつらいよ お帰り 寅さん」「スペシャルアクターズ」など、話題の新作をリリースし、好調に推移した。
テレビ放映権販売に関しては、地上波にて「殿、利息でござる!」「武士の献立」が放送され、BS放送にて、BSテレビ東京で4月より「男はつらいよ」シリーズを4Kデジタル修復版で放送したことが収益に貢献した。
CS放送事業などに関しては、松竹ブロードキャスティング株式会社において、競合になるインターネット動画配信サービスが、コロナ禍による巣ごもり需要のため勢いを増しており、多チャンネル放送市場はますます厳しい状況を迎えているが、特色のある番組編成の強化により、収益確保につとめた。
上記の結果、売上高は114億2300万円(前年同期比60.9%減)、セグメント損失は29億8600万円(前年同期はセグメント利益19億7700万円)となった。
演劇事業
歌舞伎座は、3月から7月まで公演を中止していたが、「三月大歌舞伎」を無観客で映像収録し、動画共有サイトで無料配信したところ好評だった。5月から7月に予定していた「十三代目市川團十郎白猿襲名披露興行」に関しては延期となった。
新橋演舞場は、すべての公演が中止となった。
大阪松竹座は、8月に、関ジャニ∞、ジャニーズWEST、関西ジャニーズJr.による無観客でのライブ生配信を行ない、大きな反響があった。
南座は、8月に「南座 夏の舞台体験ツアー」を開催した。
その他の公演に関しては、全公演が中止になった。
シネマ歌舞伎では、緊急事態宣言解除後の映画館の再開に伴い、月イチ歌舞伎2020の上映を開始し、歌舞伎ファンを中心に観覧者が来場した。
METライブビューイングに関しては、2019-20シーズン第8作「さまよえるオランダ人」が、ニューヨークのMETがロックダウンによる休館に伴い、ライブビューイングの上映がなかったが、日本でのみカメラリハーサルの映像を使用し、1週間の上映を行ない、8月からはアンコール上映を行なった。
上記の結果、売上高は20億7200万円(前年同期比85.5%減)、セグメント損失は13億300万円(前年同期はセグメント利益4億4300万円)となった。
不動産事業
不動産賃貸は、歌舞伎座タワー、築地松竹ビル(銀座松竹スクエア)、東劇ビル、新宿松竹会館(新宿ピカデリー)、有楽町センタービル(マリオン)、松竹倶楽部ビル、大船ショッピングセンター、新木場倉庫などの満室が続き、全体でも高い稼働率で安定的に収益に貢献した。4月には浅草六区松竹ビルが竣工し、5月より賃貸を開始した。
また、各テナントとの賃料交渉にも誠実に対応し、安定的に利益を確保した。
上記の結果、売上高は58億4200万円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益は27億400万円(同7.9%増)となった。
その他
プログラムやキャラクター商品は、映画館の営業再開以降に公開された新作「劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」「私がモテてどうすんだ」「弱虫ペダル」「事故物件 恐い間取り」で、キャラクターや出演者へのファンに支えられ、収益に貢献した。
イベント事業は、イベント自体のキャンセルや延期が続き、厳しい状況となった。
小売、飲食店舗事業では、休業または新型コロナウイルス感染症の対策下での運営が続き、厳しい状況になったが、通信販売の売上は伸びたとのこと。
上記の結果、売上高は3億7500万円(前年同期比64.8%減)、セグメント損失は4億7900万円(前年同期はセグメント損失5400万円)となった。