コロナ禍での営業休止や緊急事態宣言などの影響で店舗の稼働率が大きく低下。今後は大手チェーン店を中心とした業界再編を予想。
株式会社帝国データバンク(以下、帝国データバンク)は、コロナ禍による営業休止や時短の影響で、2020年度(2020年4月~2021年2月)におけるネットカフェなど「複合カフェ」の倒産が10件発生し、過去最多を更新したことを発表した。
帝国データバンクの調査によると、2020年度はマンガ喫茶やネットカフェなど「複合カフェ」事業を主力とした企業の倒産数がはじめて10件に達し、例年にないハイペースで推移したという。
日本複合カフェ協会によると、複合カフェは2021年2月時点で合計942店舗と全国で1000店規模に迫っているが、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言が発出によって全国的に人出が急減したことに加えて、店舗の休業要請があったことで、2020年4~5月にかけて営業休止や時短営業を余儀なくされ、売上に大きな打撃を受けたそうだ。
さらに、宣言解除以降も客足が鈍く、在宅勤務の普及や「夜の街」の人出激減などの影響で、サラリーマン層の需要がふるわないほか、休校やオンライン授業により学生需要も戻らず、稼働率は低水準で推移していたとのこと。
その結果、2020年は首都圏にも店舗を構え、ネットカフェとして知名度の高かった「メディアカフェ ポパイ」の運営会社の経営破綻をはじめ(関連記事)、大手、中小ともに厳しい業況が続いている。
複合カフェ業態の今後は、コロナ禍の収束動向に加えて、利用単価の高いオフィス街や繁華街の人出回復に大きく左右するとみられており、充実したオンライン設備や個室タイプなどプライバシー性能、快適性の高さをいかし、在宅勤務者やオンラインで就職活動する学生などに利用メリットをアピールしていくという。
しかしながら、2021年1月に再度発出された緊急事態宣言もあり、複合カフェ需要の冷え込みは今後も長期化することが予想されていることにくわえて、各社が店舗展開を積極的に進めていることから、都心・郊外店ともに限られた利用者を取りあう形で競争が激しくなっており、業態全体で飽和感が急速に高まりつつあるという。
今後は、需要の本格回復までは、不採算店整理や新規出店の凍結など、各社で体力勝負が繰り広げられ、大手チェーン店が中心となった業界再編が進む可能性もあるとのこと。