「鬼滅の刃」の大ヒットやコロナ禍による巣ごもり需要が大きな追い風に。売上増加に加え、返品率改善による流通コストの削減で利益が大きく増加。
日本出版販売株式会社(以下、日販)は、2020年度の決算を5月26日(水)に発表した。当年度の経営成績は、売上高4201億5100万円(前期比169.6%増)、営業利益10億1400万円(前期は営業損失7200万円)、経常利益11億5500万円(同2525.0%増)、当期純利益3億9600万円(同137.3%増)だった。
経営成績に関する説明
当年度の売上高は2012年度以来8年ぶりの増収となった。主な要因としては、マンガ「鬼滅の刃」の大ヒットと、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う巣ごもり需要の増加があり、それらが大きな追い風となった。
2020年度の書店店頭売上前年比は 2020年5月~2021年2月まで10か月連続で前年を超える結果となり、累計で104.2%となった。特にマンガについては129.8%と大幅に伸びた。
新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、巣ごもり需要によるEC販売の増加というプラスにも作用した一方で、書籍・雑誌の発売中止や休業店の発生などマイナスの作用も引き起こした。
昨今のダウントレンドに加えて、取引先の帳合変更などもあり、送品高は減少したが、店頭売上の回復と日販が取り組んでいるマーケット需要にもとづいた送品施策や低返品、高利幅スキームなどが複合的に作用したことで、送品高の減少を上回る返品高の減少を実現した。
その結果、返品率は33.6%と3.1ポイント改善し、特に書籍返品率については28.7%と、29年ぶりに20%台の水準となった。
これら返品率改善による流通コストの削減に加え、固定費を削減したことで、当期は大きな黒字となった。