東宝、映画事業や映像事業で大ヒットに恵まれ営業利益214億円 2022年2月期第2四半期決算 | オタク産業通信：ゲーム、マンガ、アニメ、ノベルの業界ニュース

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」などの映画に加えて、「ウマ娘プリティーダービー Season 2」などのテレビアニメが業績に貢献。

東宝株式会社（以下、東宝）は、2022年2月期第2四半期決算短信［日本基準］（連結）を10月12日に発表した。当第2四半期連結累計期間の業績は、営業収入1180億5000万円（前年同四半期比59.5％増）、営業利益214億6300万円（同202.4％増）、経常利益227億5200万円（同188.1％増）、親会社株主に帰属する四半期純利益は150億8100万円（同297.3％増）となった。

経営成績の説明

当第2四半期連結累計期間の東宝グループでは、適切な感染予防の取り組みを講じたうえで、営業を継続しておりましたが、度重なる緊急事態宣言により、東京・大阪等の一部の自治体による休業要請を受けて映画館や商業施設等の臨時休業・営業時間の短縮や座席販売の制限、演劇公演の中止・一部公演チケット販売の停止等を行なった。

一方で、東宝配給作品の大ヒットやアニメーションレーベル「TOHO animation」作品が業績に寄与した。

なお、劇場や商業施設等の臨時休業期間中の人件費・借家料・減価償却費等ならびに中止した演劇公演に係る製作費等を「臨時休業による損失」として特別損失に、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置の適用を受けた雇用調整助成金及び国や地方自治体等からの助成金等を「助成金収入」として特別利益に計上している。

セグメントごとの経営成績は以下のとおり。

映画事業
映画営業事業では、東宝において、共同製作や配給した作品のうち、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「名探偵コナン緋色の弾丸」「竜とそばかすの姫」が大ヒットしたほか、東宝・東和ピクチャーズ株式会社との共同配給において「映画モンスターハンター」や東宝東和株式会社において「ワイルド・スピード／ジェットブレイク」を配給した。

これらの結果、映画営業事業の営業収入は226億4900万円（前年同四半期比88.2％増）、営業利益は54億3300万円（同85.1％増）となった。

なお、東宝における映画営業部門・国際部門をあわせた収入は、内部振替額（17億5900万円、前年同四半期比1.7％減）控除前で268億6200万円（同97.5％増）であり、その内訳は、国内配給収入が212億5800万円（同149.2％増）、製作出資に対する受取配分金収入が5億4800万円（同190.1％増）、輸出収入が18億2700万円（同94.6％増）、テレビ放映収入が5億円（同33.8％減）、ビデオ収入が2億8800万円（同69.6％減）、配信その他の収入が24億3800万円（同9.1％増）だった。また、映画企画部門の収入は、内部振替額（7500万円、前年同四半期比86.9％減）控除前で5億800万円（同36.4％減）だった。

映画興行事業では、TOHOシネマズ株式会社等において、上記配給作品がヒットしたことや、前年同四半期に比べ劇場の休館や営業時間短縮等の制約期間が短くなったこともあり、大幅な増収となりましたが、4月下旬からの公開作品の延期や東京・大阪等の休館・営業時間短縮や座席販売の制限があり引き続き厳しい状況となった。

これらの結果、当第2四半期連結累計期間における映画館入場者数は、1508万6000人と前年同四半期比113.2％の増加となった。映画興行事業の営業収入は289億200万円（前年同四半期比135.6％増）、営業利益は12億400万円（前年同四半期は38億円の営業損失）となった。

なお、当第2四半期連結累計期間中の劇場の異動はなく、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で702スクリーン（共同経営56スクリーンを含む)となっている。

映像事業では、TOHO animation作品が各種事業において好調に推移した。パッケージ事業において、Blu-ray、DVDにてTVアニメ「ウマ娘プリティーダービー Season 2」が好調なセールスとなったほか、TVアニメ「呪術廻戦」等を提供した。アニメ製作事業においては、TVアニメ「呪術廻戦」「僕のヒーローアカデミア」等の商品化権収入に加え、その他製作出資した作品の各種配分金収入やTVアニメ「ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉」の利用収入もあり増収となった。

出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて映画「名探偵コナン緋色の弾丸」、TVアニメ「呪術廻戦」、映画「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールドヒーローズミッション」の販売が伸長した。TOHOスタジオ株式会社では、制作及びスタジオ事業の一体運営をはかり、順調に稼働した。株式会社東宝映像美術及び東宝舞台株式会社では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して、一部持ち直しの兆しがみえたものの、依然として厳しい状況にあった。

これらの結果、映像事業の営業収入は261億6100万円（前年同四半期比92.0％増）、営業利益は69億8400万円（同285.2％増）となった。

なお、東宝における映像事業部門の収入は、内部振替額（44億9000万円、前年同四半期比145.1％増）控除前で257億8000万円（同120.9％増）であり、その内訳は、パッケージ事業収入が86億2700万円（同65.5％増）、出版・商品事業収入が20億2800万円（同271.8％増）、アニメ製作事業収入が140億200万円（同168.3％増）、実写製作事業収入が5億7300万円（同6.3％減）、ODS事業収入が4億1100万円（同426.4％増）、その他の収入が1億3700万円（前年同四半期に比べ1億3700万円増）だった。

以上の結果、映画事業全体では、営業収入は777億1300万円（前年同四半期比104.9％増）、営業利益は136億2200万円（前年同四半期に比べ126億7400万円増）となった。

演劇事業
演劇事業では、緊急事態宣言が発出され、公演の中止や公演チケット販売の停止・払い戻し対応等を行なったが、各自治体の要請を踏まえ公演した。東宝株式会社の帝国劇場において「Endless SHOCK -Eternal-」「モーツァルト！」「レ・ミゼラブル」「王家の紋章」を上演した。シアタークリエにおきましては「GHOST」「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」「カメレオンズ・リップ」「ジャニーズ銀座2021 TOKYO EXPERIENCE」「CLUB SEVEN ZERO Ⅲ」「SHOW BOY」等を上演し、その他全国へと社外公演を行なった。前年同四半期に比べ公演数が増加したため、大幅増収となった。東宝芸能株式会社では、一部の舞台やコンサートの公演中止等があったが、CM出演等で所属俳優が好調に稼働した。

以上の結果、演劇事業の営業収入は65億7600万円（前年同四半期比217.7％増）、営業利益は11億4700万円（前年同四半期は11億4600万円の営業損失）となった。

なお、東宝株式会社における演劇事業部門の収入は、内部振替額（9000万円、前年同四半期比3.7％増）控除前で56億5500万円（同325.5％増）であり、その内訳は、興行収入が4,555百万円（同261.9％増）、外部公演収入が1,023百万円（前年同四半期に比べ10億2300万円増）、その他の収入が76百万円（前年同四半期比9.1％増）でした。

不動産事業
不動産賃貸事業では、オフィス環境の変化や商業施設の休館等で、引き続き厳しい状況下にあった。企業集団の保有する賃貸用不動産の空室率については、0.4％台で推移したが、一時的なテナントの入れ替え等もあり減収となった。不動産賃貸事業の営業収入は134億7000万円（前年同四半期比4.3％減）、営業利益は58億8400万円（同9.2％減）となった。

企業集団の固定資産の含み益については、2021年1月1日の固定資産課税台帳の固定資産税評価額を市場価額として、税効果を考慮した後の評価差額のうちの東宝の持分は約3480億円となっている。

なお、東宝株式会社における土地建物賃貸部門の収入は、内部振替額（3億9700万円、前年同四半期比3.0％減）控除前で143億5400万円（同3.4％減）だった。

道路事業では、老朽化によるインフラ整備をはじめとする公共投資が堅調に推移するなか、スバル興業株式会社と同社の連結子会社が、技術提案等を通じた積極的な営業活動により新規受注や既存工事の追加受注につとめたが、労務費・資機材価格の上昇傾向が継続する等、依然として予断を許さない状況が続いた。

その結果、道路事業の営業収入は141億7400万円（前年同四半期比0.7％増）、営業利益は23億700万円（同10.1％減）となった。

不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理株式会社及び東宝ファシリティーズ株式会社において、ホテルや劇場等、商業施設の受注案件の延期等があったが、経費削減等につとめた結果、増益となった。

その結果、営業収入は48億3600万円（前年同四半期比2.5％増）、営業利益は4億7500万円（同79.6％増）となった。

以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は324億8200万円（前年同四半期比1.2％減）、営業利益は86億6700万円（同7.0％減）となった。