and factory、マンガアプリの好調で赤字縮小 2021年8月期決算短信

マンガアプリのユーザー獲得施策が収益に貢献。今後は縦読みカラーマンガWebtoon事業にも投資。

and factory株式会社(以下、and factory)は2021年8月期決算短信[日本基準](非連結)を2021年10月15日に発表した。当事業年度における売上高は30億4442万9000円(前年同期比3.3%増)、営業損失8356万7000円(前年同期は営業損失2億258万9000円)、経常損失2億3979万3000円(前年同期は経常損失2億5976万7000円)、当期純損失5億6139万2000円(前年同期は当期純損失3億6207万7000円)となった。

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経営成績の説明

and factoryは「日常に&を届ける」をミッションとして掲げ、中核事業となるAPP事業において、主に大手出版社と共同開発したスマートフォン向けのマンガアプリの収益拡大に注力してきた。

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当事業年度においては、一部のマンガアプリにおいて、収益性の向上を意識したユーザー獲得施策の推進や一時休載していた人気作品の連載再開によりARPU(ユーザー一人当たりの収益単価)が上昇傾向に転じたこと、広告宣伝費を効率的に投下したことにより、売上高、営業利益ともに前年同期と比較して増加した。

一方で、当事業年度においては、海賊版マンガサイトの利用者拡大が当社の事業拡大に対してネガティブに働いているとも推察している。ユーザー数は引き続き堅調に推移しているものの、潜在的な利用者獲得を阻害している可能性や課金売上の低下要因のひとつとなっている可能性が指摘される。

また、もうひとつの事業セグメントであるIoT事業においては、宿泊領域のテクノロジー化を事業方針として、スマートホステル「&AND HOSTEL」の開発・運営を行なうとともに、宿泊管理システム「innto」、客室タブレットサービス「tabii」等宿泊施設向けのIoTソリューションサービスの提供を展開してきた。また、賃貸不動産領域においても、管理会社と入居者をつなぐ、コミュニケーションアプリ「totono」の開発・運営を推進してきた。一方で、コロナ禍を契機としてIoT事業がターゲットとしている宿泊領域、賃貸不動産領域を取り巻く事業環境は大きく変化しており、足許の財務健全性維持ならびに収益性確保が喫緊の課題となっている。中長期的な事業成長に向けて、よりand factoryが強みを有する事業や新規事業の創出に経営資源を集中することが必要であると判断し、当事業年度において、IoT事業構造改革を発表し実行している。innto事業、tabii事業、totono事業に関しては事業譲渡及び引継ぎ業務が概ね完了しつつあり、&AND HOSTEL事業における収益の改善施策に関しても一定の目途がついている状況にある。また、今後の中期的な事業方針を示していくという観点から、2021年8月にはand factoryとして初となる中期経営計画の公表を行なっており、2024年8月期をターゲットとする各種経営目標の達成に向けて取り組みを進めている。

セグメント別の業績は、次のとおり。なお、当事業年度より、報告セグメントの名称及び区分を変更しており、当事業年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいて記載している。

APP事業
当事業年度において、「マンガUP!」、「マンガPark」、「マンガMee」など既存マンガアプリについては、積極的な広告宣伝の実施や新規連載開始等によりMAU(Monthly Active User)が増加した。さらに、人気コンテンツの掲載延長、作品追加等によって、サービス提供を開始して以降、好調に推移している。また、2020年5月にリリースした株式会社集英社と共同開発したマンガアプリ「ヤンジャン!」及び2020年5月にリリースした株式会社アムタスと共同開発したマンガアプリ「めちゃコミックの毎日連載マンガアプリ」についても、リリース以降、着実にMAUが増加しており、and factoryの収益に貢献している。

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一方で、ARPUは横ばいで推移し、一部広告主におけるリワード単価の引き下げ及び新型コロナウイルス感染症の影響による広告市況全体の悪化により広告収益が減少した。売上全体としては引き続き堅調に拡大が続いており、積極的な広告宣伝費の投下を実施している。

この結果、当事業年度におけるAPP事業の売上高は27億6794万5000円(前年同期比8.3%増)、セグメント利益は5億8981万円(同55.9%増)となりました。

当社のAPP事業において運営するスマートフォンアプリのうち、「マンガアプリ」の四半期毎の平均MAU数の推移は下表のとおりであります。

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IoT事業
当事業年度において、当社が注力するIoT体験型宿泊施設であるスマートホステル「&AND HOSTEL」では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた前事業年度に比べ、一部店舗においてターゲットやコンセプトの転換をはかり、新規顧客層の獲得を推進した結果、稼働率は回復基調となった。一方、顧客単価は回復基調にはあるものの依然低い水準にあり、各店舗の運営収益は前年同期と比較して横ばいで推移した。innto事業、tabii事業、totono事業においては、事業譲渡を見据えた事業運営により、当事業年度末にかけて売上は期初計画を下振れて推移した。

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この結果、当事業年度におけるIoT事業の売上高は2億7648万3000円(前年同期比17.9%減)、セグメント損失は2億6720万4000円(前年同期はセグメント損失1億8706万4000円)となった。

関連リンク

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