【発掘! インディーズ】新連載スタート! 『BUGTRONICA(バグトロニカ)』 バグだらけの世界でバグ(虫)と戦う!? こう見えて、ちょっと切ないストーリー……。

発掘! インディーズ

 「インディーズゲーム」。
 それは個人や小規模なチームで作られたゲームのこと。大企業でたくさんお金をかけて作られたゲームとはまた違った魅力、個性があります。今回の担当・なっちゃんもインディーズゲームがとても好きです。
 そんなインディーズゲームを回り持ちでご紹介する連載をスタートします! 今回の作品は『BUGTRONICA(バグトロニカ)』です。

BUGTRONICA(バグトロニカ)
▲『BUGTRONICA(バグトロニカ)』トップ画面。

■お花屋さん、猫、テレビまで喋る? バグ世界の人々との不思議な会話。

BUGTRONICA(バグトロニカ)
▲スタート地点。背景も音もバグってる!?

 『BUGTRONICA(バグトロニカ)』はご覧のとおり、バグったゲームです。主人公の姿は崩れているし、世界には色も音もありません。
 このバグ世界をさまよっていろんなキャラクターと触れ合うアクションゲームなのですが……実は、世界観もストーリーも、インディーズゲームらしいとても特殊な表現がされています。
 先に記しておきますと、本作は「すごく楽しかった! 好き!」という人と「よくわからなかった。好きじゃない」という人とに、かなり意見が分かれると思います。それくらい強烈な個性を持っているのです。

 基本操作は、右に進んでいって、飛んで来る虫(バグ)をビームで倒すというもの。虫にぶつかると体力が減ってしまうので、ジャンプや沈みこみ(地面やブロック上で下を押し続ける)でうまく避けます。

BUGTRONICA(バグトロニカ)
▲無機質な四角いビームを発射する主人公。虫を倒して進んでいきます。体力がハートで表示されているところが、レトロゲーム好きにはたまらない……!

 虫を一定数倒すごとに、お花屋さんや探偵、猫などさまざまなキャラクターに出会います。キャラクターは思い思いのことをしゃべり、主人公に問いかけます。いろんな人がいるので、「このキャラ、私みたい……」と思うこともあるかもしれません。
 彼らの話はわけがわかるような、わからないような……(いや、ほとんどわかりません)。「彼らの言葉、人生は詩のようだ。このゲームは詩集のようだ」と私は感じました。一文一文じっくりと読んでいくうちに、ゲームとして遊んでいたつもりが、いつの間にか自分との対話になっています。

BUGTRONICA(バグトロニカ)
▲こんな変わったキャラクターも! 懐かしいブラウン管のテレビです。

 キャラクターの一人「アナログテレビ」は、地デジ化で捨てられるのが不安だと主人公にこぼします。ちょっとかわいそうです……。しかし「あなたは 2015ねんに なっても わたしを いえに おいていただけますか?」なんて質問されると困ってしまう! あなたならなんと答えますか? 自分の心を見つめるために、正直に応えることをおすすめします。

 各キャラクターとの会話が終わると、新しい武器をもらえます。お花屋さんからはお花を。女の子からは風船を。どれも武器には見えませんが、見ているとホッとします。「心の武器」とでもいうのでしょうか。

BUGTRONICA(バグトロニカ)
▲風船やホットドッグや絵筆などをビームとして放つことができます。ちょっとシュールでおもしろい光景ですね。

■最後の出会いは少し切ない……。『BUGTRONICA』が伝えようとしたこととは?

 虫を倒し続けていくと、バグだらけだった世界もだんだん色や音楽を取り戻していきます。「このままいけば、元の綺麗な世界になるのかな」と思った頃……

BUGTRONICA(バグトロニカ)
謎の人物が現れる……。

 突然謎の人物が現れ、せっかく綺麗になってきていた世界が、また最初のようにバグってしまいました。彼はよほど混乱しているのか、意味不明なことをしゃべり続けます。こっちまで気が変になりそうです。
 そして、とうとう……。

 主人公とこの謎の人物がどうなってしまうかは、あなた自身の目で確かめてください。私はこのキャラクターの言葉を聞いて、胸がしめつけられるような思いがしました。
 アクションゲームとしてもここが山場です。今までの虫退治では簡単すぎるという人も、この時だけは苦労すると思います。

 彼はいったい何者だったのか。主人公とはどういう関係なのか。「バグ」とはなんだったのか。エンディングはなにを意味するのか……。私もプレイしながらいろいろと考えました。そして「『BUGTRONICA』はゲームの域を超えた深い何かを伝えようとしているのではないか」と思いました。それが冒頭に書いた「インディーズゲームらしい特殊な表現」です。
 しかしここで私の解釈を書いてしまうと、これからプレイする方の自由な想像をジャマしてしまうかもしれません。先述のとおりこのゲームは「詩集のようなゲーム」だと思うので、百人プレイすれば百通りの解釈があるでしょう。

 このゲームの特殊な表現はこれだけではありません。一番驚くポイントは、ゲームをクリアした後にあります。「実はこちらが本編なのかも」と思うほど充実した内容なので、ぜひ探してみてください!