【詳細レポート1】セガネットワークスとLINEがゲーム事業での協業を発表。新たな形“マーケティングパートナー”としてのタッグとは?

セガ×LINE

 11月18日(水)、セガゲームス セガネットワークス カンパニーとLINEが共同で発表会を実施。両社がゲーム事業において、マーケティングパートナーとして協業することになったと発表した。同時に、共同の第一弾タイトルとして、アクション共闘RPG『フォルティシア SEGA×LINE』の発表も行なった。
 ここでは、その内容についてレポートしよう。

 本記者会見で、最初に登壇したのは、LINE株式会社の取締役CSMO、舛田淳氏。まずLINEゲームの現状について、ちょうど3周年を翌日に迎える18日(水)時点で、リリース済の67のアプリ総計のダウンロード数が6億を超えていると発表。ダウンロード数のトップは『LINE:ディズニー ツムツム』の約5000万で、以下『LINE レンジャー』の3500万、『LINE ポコポコ』の1200万、『LINE バブル2』の1000万と続く。
 また、2014年の世界げームアプリ市場において、収益ベースで全パブリッシャー中の4位となったことを紹介。前年の5位からさらに順位を上げ、ゲームパブリッシャーとして成長した形になる。

 こうして成功しているLINEゲームは、主なジャンルがカジュアルなパズルであり、「パズルについては、ある種のヒットさせる方程式が出来上がりつつある」としつつも、今後の課題として「ミッドコアジャンルの拡充」を挙げた。そのチャレンジの例が『LINE 三国志ブレイブ』『LINE タワーライジング』といったタイトルになる。
 この路線を推進するために、LINEは外部パートナーとの連携を拡大しており、過去最も例が多い、他社で制作・運営してLINEがパブリッシャーになる形の“パブリッシングパートナー”、ビッグボヤージュ(GREEとの協業)やグリーンモンスター(サイバーエージェントとの協業)のような“ジョイントベンチャーパートナー”、その他にスタートアップ企業への出資である“インベストパートナー”など、さまざまな形でのパートナーシップに乗り出しているのが現状だとした。
 これらのパートナーシップの場合、すべてアプリのパブリッシャーはLINEだったが、今回は新たな形“マーケティングパートナー”だと発表。そのパートナーとして、セガと協業する、というのが、今回の発表趣旨となった。

 LINE舛田氏はセガについて、ミッドコアタイトルでは「間違いなく、国内、世界でもトップクラスのパートナー」と評し、そのセガと「我々トップクラスのプラットフォーマーのLINEとで、協力して、新しいゲームの形を作っていこう」というのが、今回のパートナーシップの目的である、と発表した。
 今回の協業では、LINEがプラットフォーム部分とマーケティング、セガがゲームの企画、開発、パブリッシャーを担う役割分担となる。

 その協業の第一弾タイトルとして、同時に発表されたのが、“運命と出会う共闘RPG”『フォルティシア』(正式タイトル『フォルティシア SEGA×LINE』)だ。このゲームは、LINEの強みである「人と人とで遊ぶ」部分を活用して、RPGにも共闘を盛り込むのが狙いとなるゲームとした。

 「今回のセガとのパートナーシップで、日本から世界へ、いままでのゲーム市場のランキングを塗り替えていきたい」と思いを語り、舛田氏の発表は終了となった。

LINE舛田
▲LINE株式会社 取締役CSMO、舛田淳氏。

 続いての登壇は、セガネットワークスカンパニーCOOの岩城農氏。岩城氏は「エキサイティングな取り組みにご一緒させていただけることを嬉しく思う」と始めた。
 岩城氏は、ネイティブアプリマーケットの非常に激しい競争の中で、いかに良いタイトルをお客さまにお届けするか、日々苦闘している中で、今回の特別な取り組みをご提案いただいた。驚いたが、貴重な機会をいただいたので、何タイトルかお持ちし、LINEの審査で、これで行こう、となった」と、今回の経緯について話した。岩城氏のこのコメントから、このマーケティングパートナーの取り組みは、LINE側から持ちかけたスキームだということになる。
 「第一弾を皮切りに、二弾、三弾と続けていければ。海外も含めて、取り組みを広げていければ、我々としても有意義。我々はオープンな取り組みを好むので、ご一緒させていただけることを嬉しく思う」と締めた。

セガ岩城氏
▲セガネットワークスカンパニーCOO、岩城農氏。

 続けて、このパートナーシップでの第一弾タイトル『フォルティシア』の詳細について発表された。登壇したのは、セガで開発プロデューサーを務める菅野顕二氏。菅野氏は、アーケードで『クレイジータクシー』などを手がけ、スマートフォンゲームでは『ガンダムコンクエスト』をヒットさせた実績を持つ開発者だ。
 菅野氏は、まず『フォルティシア』のイメージ映像を上映。「セガは骨太なゲームを作るのが得意と言われ、一方でスマホゲームのノウハウも溜まっている。これを合わせて今回の『フォルティシア』を提供していきたい」と、本タイトルへの意気込みを語った。

セガ菅野氏
▲セガ『フォルティシア』開発プロデューサー、菅野顕二氏。
フォルティシア
▲『フォルティシア SEGA×LINE』メインビジュアル。

 『フォルティシア SEGA×LINE』は、魂を宿した武器、フォルティスを使って魔物を退治していくアクションRPG。ゲームはフル3Dで、最大のポイントは、いつでも参加できるマルチプレイ部分。非常に力を入れたというマッチングシステムに関しては、後に詳しく紹介しよう。
 発表会に先んじて、11月18日(水)から、事前登録が開始されている。

 発表会の最後は、LINEの舛田氏とセガの岩城氏による質疑応答。

 両社が協業を決めたきっかけについて、LINE舛田氏は「マーケティングパートナーという手法は、パブリッシャーをやってきた我々にとってもチャレンジ。何社もできるものではない、と最初から決めており、やるからには共同でいいゲーム、ランキング上位のタイトルを作るのが思い。何社かにお声がけをさせていただき、何本かのタイトルを出していただいて、自社の評価システムにかけさせていただいた中で、(『フォルティシア』に)かなり早く決まった。ほぼ一択。LINEゲームのメンバーが惚れ込んだのに近い」と、LINE側から『フォルティシア』を高く評価しての第一弾リリースとなったことを述べた。
 セガ岩城氏はこれを受けて、「両社にとって意欲的なチャレンジ。大きなヒットタイトルを生み出すにはこれ以上ない取り組みに参加させていただけるなら、ということで、当時ライン上にあったいくつかのタイトルをお見せした。その中でも、とんとん拍子で(『フォルティシア』に)決まった。LINEのあれだけのお客さまを相手にサービスさせていただけるのはなかなかないので、可能性と期待を込めている」と応えた。

 マーケティングパートナーとはどういう形のパートナーシップか、という質問について、LINE舛田氏は「LINEゲームプラットフォーム上からの送客、機能提供がベース。それ以外のメディアについても、LINEがリードさせていただく。自社で数多くのタイトルをマーケティングして培ったノウハウを出していきたい。今回のゲームは“LINEらしくない”もので、セガの世界観の中にLINEらしさを入れていく形になる。自社パブリッシュではLINEらしさを重要視してきたが、今回は企画開発をセガでやっていただき、自社だけではできなかった価値を出していけると期待している」と解答した。
 また、ミッドコアの拡充策なのか、という問いには「ミッドコアだけではなく、LINEゲームのポートフォリオの拡充。その中で、我々にとってミッドコアはチャレンジの領域なので、今回の発表はその中の大きな取り組み」とした。

 セガのタイトルをLINEゲームで出すことについて、セガ岩城氏は「一千万ユーザーを超えないと、マスユーザーには姿も形もかすりもしないのが一般的なタイトルの現状。ゲームの原体験が少ない(LINEの)ユーザーに対しても、分かりやすく、かつ奥深さと世界観を兼ね備えたタイトルをいかに提供するか。これを実現するために、LINEらしさをどう入れていくかは、一番議論を重ねた」とした。

セガ×LINE2

 『フォルティシア SEGA×LINE』のゲーム詳細については、続く記事を参照してほしい。