【発掘! インディーズ】『LIMBO』。絵本みたいなのに、すさまじい臨場感。「死にたくない」と思えるアクションパズル。

LIMBO
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 インディーズゲームは、グラフィックや音にこだわったものがたくさんあります。謎解きアクションゲーム『LIMBO』も、そんな芸術性あふれる作品のひとつです。
 今回の担当者・なっちゃんは本作の美しい景色やミステリアスな雰囲気に惹かれ、プレイしてみることにしました。

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▲スタート地点。森で目覚めた主人公の少年。なぜこんなところに……?

 ゲームを始めると、主人公の少年が森のなかで目を覚まします。セリフやムービーは特にないので、どういう状況なのかはわかりません。白黒のグラフィックが少し不気味で、「なぜこんなところに倒れていたのだろう? なにか事件か? 事故か?」などと想像力をかきたてます。
 ストーリーに関する公式の説明は、以下の一文だけ。

「運命に逆らい、妹を探して少年は LIMBO の世界に足を踏み入れる」

 なんとも意味深長な文章です。とにかく妹を探しに行きましょう。

 画面左側を左右にスワイプして移動。画面右側を上や斜め上にフリックするとジャンプ。タップやホールドで物を掴むなどのアクションをします。ボタンは表示されていませんが、意外と操作しやすいです。

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▲洞窟の入口。暗くて狭くて、入るのがちょっと怖い……。

 ほとんどのものはシンプルな影絵で描かれていますが、不思議なほどその質感や温度が伝わってきます。狭くて暗い洞窟では「ここ、入って平気?」と不安に。水辺は穏やかな霧がかかっていて、走りどおしの少年には心地よさそう。

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▲霧の中を船でゆったり進みます。水音と鳥の声を聞きながら、一休み……。

 本作は絵だけでなく、音にも制作者の情熱を感じられます
 基本的にBGMはなく、少年の足音を聞いて「ここは砂地だな」「倒木の上に乗ったな」などと足元の質感を知ります。草原では風がうなり、洞窟内は音がさみしく響きます。

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▲トラバサミのトラップが! 身体が砕ける音までリアルで、痛々しい……。

 癒される自然音だけでなく、トラップが発動した時の音もリアルです。トラバサミに挟まれて身体が砕ける音、串刺しになる音、落石につぶされる音……。「人体が壊れる時って、本当にこんな音なんだろうな……」と思ってしまうほどリアルで、ショッキングです。
 下の動画をイヤホンで視聴して、恐ろしい死の音を感じてください。

 

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▲巨大なクモが襲ってきた! どうやって倒そう……。序盤で一番難しい問題だと思います。

 謎解きは最初は簡単なのですが、だんだん難しくなっていきます。いろいろな部分を見回して、頭をひねって、何度も死んでようやく解けるという感じです。解けた瞬間は「なるほど!」という心地よい驚きがあります。

 本作をプレイする前は「絵本みたいで雰囲気いいな~」と思っていただけでしたが、実際に遊んでみると、この独特の絵や音には雰囲気演出以上の効果があることがわかりました。不思議なほどリアリティがあるので、死ぬのが怖くなるのです。本作は死んで気がつくことも多い謎解きゲームなので、トライ・アンド・エラーでやれば早く進めます。でも死ぬのが怖いので、ひとつアクションを起こすのも緊張……。唐突にトラップが発動してビクッとすることも。そんなふうに「死にたくない」と思えるゲームは貴重だと思いました。
 美しい景色や自然音の中で、死の恐怖と緊張感を味わってみてください。

※Androidには無料で序盤までプレイできるDEMO版もあります。