自軍ユニットを駆使して、迫り来る敵から自陣を守るタワーディフェンス。このジャンルはタッチ操作メインのスマートフォンの普及とともに一気に広がったものの、ややマンネリ感が出てきているのは否めない。
今回紹介する『ワールドエンドエクリプス』はそんなタワーディフェンスのひとつ。しかしこれまでプレイしてきたそれとは一線を画した作品となっている。
◆ファンタジーRPGと見紛うグラフィックとストーリー
ゲームを始めると飛び込んできたのは、中世ファンタジー世界を表現したかのようなグラフィックだ。タワーディフェンスというより、RPGと説明されたほうがしっくりくる雰囲気である。
『ワールドエンドエクリプス』の舞台は、かつて竜が世界に君臨した世界。残された「竜の骸」を拠り所としてたくましく生きる人々の姿を描いた作品である。プレイヤーは狩猟兵団の新米隊長として、敵を退治したり、骸を立派な拠点に成長させたりしていく。
▲会話シーンはすべてボイス付きだ。
◆これまでの定石が通用しない? 2ラインバトルで生まれる新しい戦略
バトルでは、拠点となる「トーチ」を守りつつ、迫りくる敵を撃退しながら相手のトーチを破壊するのが目的となる。剣兵、盾兵など特徴の違う「狩猟兵」を使いこなし、敵を撃退するのだ。
フィールドは2ラインに分かれている。この2ラインというのが絶妙で、たとえば右のラインに盾兵を配置して敵の進行を妨げつつ、左のラインで一気に敵のトーチを破壊するような戦いかたが可能となる。シンプル過ぎず、複雑過ぎない戦略性が生まれている。もちろんただ片方のラインでゴリ押せば勝てるというほど甘いものではなく、戦況に応じた工夫が必要になる。
▲バトルに出撃できるのは最大5人。出撃すると躍動感あるモーションで敵と戦ってくれる。
◆街作りはおまけでなく物語の一部
バトル以外の大きな要素が街作りである。竜の骸にある資材を採取して施設を作っていくのだが、一度採取した資材はそれっきり。資材を取りつくしたら街作りは終了で、次なる竜の骸に移住しなくてはならない。つまり遊牧民のような生活を送る狩猟兵団とシンクロするかたちで街作りが進んでいくのだ。
▲限られた資材でどの施設を強化するか。重要な選択だ。
▲「酒場」でともに戦う狩猟兵を雇用する。同じ兵種でも能力には個性があり、それぞれにストーリーも用意されている。
▲召喚で手に入る「アイギス」を狩猟兵に装備させることで、ユニットを強化できる。
これほどストーリー性のあるタワーディフェンスは、スマートフォンではおそらく珍しい。それも取ってつけたようなストーリーではなく、バトルや街づくりの要素とのつながりもしっかり意識されている。“シンプルではない”タワーディフェンスを遊びたいのなら、本作は間違いなくおすすめできる作品だ。