『クラッシュ・オブ・クラン』は、世界140か国以上の「GooglePlay」や「App Store」ランキングで1位を獲得した超人気ストラテジーゲーム。日本では『パズドラ』とのコラボやテレビCMで一躍スマホユーザーに知れわたり、配信スタートから2周年を迎えた今でも、着々とユーザー数を伸ばし続ける”化け物ゲーム”だ。
今回は、同ジャンルの国産ゲーが増えているなか、いまだ人気の衰えない『クラッシュ・オブ・クラン』の魅力は何なのかを、海外ゲームが苦手な(キャラグラ重視だし、略奪されるとすぐ萎える)筆者が探ってみる。
◆俺の「ゴールド」はお前の物! 固いこと言わずガンガン奪いに来い!
このゲームは施設を建てて自分の村を大きく、そして要塞化していく箱庭ゲームなのだが、村の開発にはやたらと時間がかかるし、ほかのプレイヤーから侵略されるので、自給自足で村を発展させるのはほとんど不可能に近い。むしろ、どんどんほかのプレイヤーの村に攻めこんで「ゴールド」や「エリクサー」を奪わないと、満足に防衛施設すら建てられない。
箱庭ゲームを愛する専守防衛ニッポン思考の筆者は、ひたすら”略奪されるための村”を作り、襲撃に怯えながら遊んでいたわけだが、実際に襲撃を受けてみると、守る側のメリットがなさすぎて、妙に清々しい気分になった――なるほど、このゲームは基本的に”奪い合う”ものなんだと気づいて、じゃあできるかぎり”相手の略奪を邪魔してやろう”という考えかたに変わっていく。
とはいえ、ほかのプレイヤーから襲撃されるのは、端末がスリープ状態のときだけ。つまり自分がアクティブなときは攻めることしかできないのだ。しかも防衛で敗北すると12~16時間攻め込まれなくなる「シールド」が張られるので、自分からシールドを解除しない限りそう頻繁に襲撃されることもない。
村が発展すればするほど、どのくらい要塞として機能するのかを知りたくなるので、だんだん敵が攻めてくるのが待ち遠しくなる。むしろ敵がまったく攻めてこないと、何のために資材を集めているんだろう……という気持ちにさえなる。
慣れてくればオフェンス重視のプレイになることは間違いないのだけど、結局このゲームは、自分がスリープしているときに、どれくらい防衛が機能するかを楽しむディフェンスゲームなのだ。
◆何もできないのにログインしてしまう不思議な中毒性
なかなか村が発展しない『クラッシュ・オブ・クラン』だが、ガッツリ時間をとって遊ぼうとすると逆に暇を持て余す。施設を建てられる「職人」の数は限られているし、兵力を増やすにもそれなりに時間がかかるので、2~3時間の放置なんてザラだ。課金アイテムの「エメラルド」を使えば、もろもろの時間短縮はできるものの、ゴールドやエリクサーが追いついてこないし、あまり豊かすぎると標的にされてしまう。
何かしたいけどやれることがない。かといってスリープ状態だと攻められてしまう――いや、そもそも奪われる資源すら残ってないじゃないか――と、こんな状況にもかかわらず、接続が切れるとすぐにログインしてしまうのは何故か? これはたぶん、箱庭ゲーム特有の”妄想にふける楽しさ”があるからだ。
箱庭ゲームでは、自分で作った村や街をぼんやり眺めながら、そこに暮らす人々の利便性などを妄想するところに密かな楽しみがある。村の開発に時間がかかる『クラッシュ・オブ・クラン』では、”次に何を優先するか”がとても重要だし、それを考える時間もたっぷりある。とにかく妄想に浸っている時間が楽しくてたまらないのだ。
あと15分待てば”壁”を1枚置ける――たったこれだけのことでワクワクできるゲームは、きっと親切なログインボーナスが定番となっている日本のアプリゲーには少ないかもしれない。”次にやりたいこと”が心地よい距離で視界の先にある。これが『クラッシュ・オブ・クラン』中毒のヒミツだろう。