東宝、映画や演劇の各事業で売上増加も収益は微減 営業利益449億円 2019年2月期決算

東宝

『名探偵コナン ゼロの執行人』や『ボヘミアン・ラプソディ』などの邦洋画が好調。演劇事業は「帝国劇場」のリニューアルで利益減。

東宝株式会社(以下、東宝)は2019年2月期決算を4月12日(金)に発表。当期の連結経営成績に関しては、営業収入は2462億7400万円(前年度比1.5%増)、営業利益は449億8200万円(同5.5%減)、経常利益は465億6800万円(同4.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は301億9700万円(同10%減)となった。

東宝 営業概況 セグメント別

経営成績に関する説明

東宝グループでは、主力の映画事業において、定番のアニメーション作品や話題作を配給。演劇事業においても、様々な話題作を提供した。

以上の結果、営業収入は2462億7400万円(前年度比1.5%増)、営業利益は449億8200万円(同5.5%減)、経常利益は465億6800万円(同4.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は301億9700万円(同10%減)となった。

映画事業
映画営業事業に関して、製作部門では、東宝において『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』や『劇場版コード・ブルー -ドクター ヘリ緊急救命-』『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』など、29本の映画の共同製作などを行ない、劇場用映画『君は月夜に光り輝く』を制作した。

配給部門では、当連結会計年度の封切作品として、上記作品のほか、『映画ドラえもん のび太の宝島』『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』などを含む32本を、東宝東和株式会社などでは『ジュラシック・ワールド/炎の王国』『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』など15本を配給した。

また、東宝は、11月1日を効力発生日に、非連結子会社の株式会社日本アート・シアター・ギルドを吸収合併した。

上記の結果、映画営業事業の営業収入は445億6500万円(前年度比2.3%減)、営業利益は100億4900万円(同13.9%減)となった。

映画興行事業では、TOHOシネマズ株式会社などにおいて、上記配給作品以外にも、『ボヘミアン・ラプソディ』『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』『万引き家族』など、邦洋画の話題作を上映した。

当連結会計年度における映画館入場者数は、4786万人と前年度比9.8%増となった。

上記の結果、映画興行事業の営業収入は839億9300万円(前年度比11%増)、営業利益は125億8800万円(同29.6%増)となった。

映像事業では、東宝のパッケージ事業において、DVDやBlu-rayで「ウマ娘 プリティーダービー」「舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り」などを提供。

出版・商品事業では、劇場用パンフレットやキャラクターグッズにおいて『名探偵コナン ゼロの執行人』『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』をはじめとする自社配給作品、『ボヘミアン・ラプソディ』などの洋画作品が順調に稼働した。

アニメ製作事業では、映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』『GODZILLA 星を喰う者』『名探偵コナン ゼロの執行人』「僕のヒーローアカデミア」などに製作出資した。

実写製作事業では、『映画刀剣乱舞』などに製作出資を行なった。

また、アニメ製作事業・実写製作事業に関しては、「東宝怪獣キャラクター」等の商品化権収入に加え、製作出資した作品の各種配分金収入が発生。

ODS事業では『映画刀剣乱舞』『ペンギン・ハイウェイ』などを提供した。株式会社東宝映像美術と東宝舞台株式会社では原価管理に努めながら、映画やTV、CMなどの舞台製作、美術製作、テーマパークにおける展示物の製作業務などを受注した。

上記の結果、映像事業の営業収入は306億7000万円(前年度比19.4%減)、営業利益は52億6100万円(同42.8%減)となった。

以上の結果、映画事業全体の営業収入は1592億2900万円(前年度比変化なし)、営業利益は278億9900万円(同8.8%減)となった。

映画

演劇事業
演劇事業では、東宝の帝国劇場において、「Endless SHOCK」や「ナイツ・テイル-騎士物語-」「DREAM BOYS」などが全席完売するなど、好評を博した。

日生劇場では、「ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち」や「ジャニーズ伝説2018」を、東急シアターオーブでは「メリー・ポピンズ」「マイ・フェア・レディ」を、東京芸術劇場プレイハウスでは「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」を上演した。

東宝芸能株式会社では、所属俳優がCMやTV、映画などで順調に稼働した。

利益に関しては、「帝国劇場」リニューアル費用を計上したことで減少した。

以上の結果、前期と演目などの違いはあるが、演劇事業の営業収入は170億500万円(前年度比6.5%増)、営業利益は、31億8700万円(同3.3%減)となった。

演劇

不動産事業
不動産賃貸事業では、東宝の「日比谷シャンテ」を3月にリニューアルオープン。全国に所有する不動産が堅調に稼働したことで事業収益に寄与し、東宝スタジオのステージレンタル事業に関しても、映画やTV、CMともに順調に稼働した。

上記の結果、不動産賃貸事業の営業収入は292億8300万円(前年度比0.9%減)、営業利益は134億9700万円(同2%増)となった。

道路事業では、受注競争の激化や建設技能者の慢性的な不足などにより、依然として予断を許さない状況での事業展開となった。

スバル興業株式会社と同社の連結子会社は、安全管理の充実を図り、事業拡大を目指し、積極的な営業活動で受注増に努めたことで、道路事業の営業収入は251億6400万円(前年度比7.8%増)、営業利益は30億4700万円(同3.3%減)となった。

不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理株式会社と東宝ファシリティーズ株式会社が、労務費や資材価格の高騰、人員不足の常態化などにより厳しい経営環境が続く中、新規受注に取り組むとともにコスト削減に努めた。それにより、営業収入は110億5800万円(前年度比6.6%増)、営業利益は9億9000万円(同0.4%増)となった。

以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は655億600万円(前年度比3.6%増)、営業利益は175億3500万円(同1%増)となった。

不動産

その他事業
娯楽事業や物販・飲食事業では、東宝共榮企業株式会社の「東宝調布スポーツパーク」、株式会社東宝エンタープライズの「東宝ダンスホール」、TOHOリテール株式会社の飲食店舗・劇場売店などで、利用のニーズを捉えたサービスの提供に努めた。

上記の結果、営業収入は45億3200万円(前年度比9.6%増)、営業利益は8700万円(同8.7%減)となった。

関連サイト

東宝株式会公式サイト
2019年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)
2019年2月期決算期決算説明資料

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