「ドラゴンボール超 ブロリー」や「翔んで埼玉」が大ヒット。VOD向けのコンテンツや北米向け映像配信権の販売が好調に推移し売上に寄与。
東映株式会社(以下、東映)は、2019年3月期決算を5月15日(水)に発表した。当期連結経営成績に関して、売上高は1370億3800万円(前期比10.2%増)、営業利益は229億7000万円(同31.5%増)、経常利益は259億8300万円(同21.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1600万円(同1%増)だった。
経営成績に関する説明
映像関連事業においては、映画やビデオ、テレビ、コンテンツの映像4部門の連携強化や興行関連事業、催事関連事業の積極展開などにより、収益の拡大をはかるとともに、観光不動産事業、建築内装事業の各部門においても堅実な営業施策の遂行に努めた。
利益に関しては、特別利益として投資有価証券売却益を、特別損失として災害による損失などを計上した。
以上の結果、売上高は1370億3800万円(前期比10.2%増)、営業利益は229億7000万円(同31.5%増)、経常利益は259億8300万円(同21.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1600万円(同1%増)となった。
セグメント毎の業績は以下。
映像関連事業
映画事業は、劇場用映画の提携製作配給と他社作品の受託配給などを実施。「ドラゴンボール超 ブロリー」や「翔んで埼玉」が大ヒットし、「孤狼の血」「終わった人」「仮面ライダービルド Be The One/快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film」「劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人」「映画プリキュアミラクルユニバース」などの作品もヒットした。
ビデオ事業では、セル市場とレンタル市場ともに厳しい状況が続いているが、劇場用映画のDVDやBlu-rayディスク作を主力として販売促進に努め、当期は373作品を発売した。その結果、劇場用映画「探偵はBARにいる3」や「仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング」をはじめとした「仮面ライダー」シリーズの販売が売上に寄与した。
テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況だったが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当期は60分もの「相棒」「科捜研の女」など83本、30分もの「仮面ライダービルド」「ワンピース」「HUGっと!プリキュア」など293本、ワイド・スペシャルもの「日曜プライム 西村京太郎トラベルミステリー」など40本の計416本を製作し、高率のシェアを維持。また「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」「仮面ライダービルド」「仮面ライダージオウ」などキャラクターの商品化権営業も順調であった。
コンテンツ事業は、劇場用映画やテレビ映画などの放映権とビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行ない、それにより、旧作テレビ時代劇や「探偵はBARにいる3」などの放映権販売、Amazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売が順調だった。アニメ関連では、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したこと、北米向け映像配信権の販売が好調だったことに加え、国内外で「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売が好稼働した。
上記の結果、売上高は938億500万円(前期比14.5%増)、営業利益は192億9800万円(同38.8%増)となった。
興行関連事業
映画興行業は、株式会社ティ・ジョイ運営のシネコンが好調に稼働し、東映直営劇場4スクリーンを含む205スクリーン体制で展開している。
上記の結果、売上高は214億3000万円(前期比4.4%増)、営業利益は18億7600万円(同1.4%減)となった。
催事関連事業
当期は、文化催事の「長くつ下のピッピの世界展」をはじめ、様々なジャンルの展示型イベント、人気キャラクターショーなど各種イベントを提供するとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開してきた。
また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移した。
上記の結果、売上高は81億6800万円(前期比4.2%減)、営業利益は11億7900万円(同3.9%増)となった。
観光不動産事業
不動産賃貸業は、賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、商業施設の賃貸業に関しては、全体的に厳しい市場環境が続いている。当期は、引き続き「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働した。
ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴い、業界環境は空前の建設ラッシュに沸き、マーケットは好調を維持する一方、民泊の解禁など新規参入による競争激化が続いている。
当期は、福岡東映ホテル本館をリニューアルするなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開した。
上記の結果、売上高は65億1700万円(前期比1.2%増)、営業利益は29億円(同1.7%増)となった。
建築内装事業
建築内装事業では、公共投資は弱含みではあるものの高水準を維持しており、設備投資も増加していることから、受注環境は良好な状況で推移することが予想される。
一方で、技術労働者の不足や建築資材価格の高止まりなどといった経営環境が続いており、楽観は出来ない状況と発表。
上記の結果、売上高は71億1900万円(前期比3.7%増)、営業利益は3億1300万円(同20.5%増)となった。