【名作レビュー】これまでのシリーズ作品と少しテイストが違う『大航海時代V』は気楽にのんびり楽しもう!

 今回紹介するのは、根強いファンを持つ人気シリーズの最新作『大航海時代V』だ。約15年ぶりにナンバリングされた新作が基本無料のPC用のブラウザゲームということで、何かと注目を集めていた本作だが、iOSやAndroidでもMobageアプリとしてプレイでき、今後も新たな海域や船などのアップデートも続々と予定されている。

『大航海時代』シリーズは、ヨーロッパが”新大陸発見”に乗り出す「大航海時代」にスポットを当てた歴史シミューション ゲーム。新たな航路を開拓し、未知の「大陸」や「交易品」を手に入れれば、下層民でも王族並みの地位と名誉が手に入る――こうした野心が蔓延していた中世ヨーロッパの雰囲気が、プレイヤーの冒険心を掻き立てる名作シリーズだ。

▲「探索」や「海戦」で交易ルートを広げて大金を稼ぎ、航海士としての名誉を高めていく。


▲長期の航海では、悪天候や病気などのさまざまなトラブルが立ちはだかる。「戦闘」、「交易」「探検」の能力が高い航海士を集めて航海に乗り出そう。


▲航海士は1日1回無料で引けるガチャで手に入る。実在の人物を含む、個性豊かなキャラクターたちが多数登場するのだ。


◆自分のペースで自分だけの大航海”時代”を楽しもう

 前作『Ⅳ』が発売された1999年と比べたらプラットフォームも圧倒的に進化しているわけで、新作を出すならシステム的にも視覚的にも、よりダイナミックでマニアックな進化を期待していた『大航海時代』シリーズファンも多いはずだ。またブラウザベースのゲームでありながら、オンライン対戦やソーシャル的な要素が強いわけでもではなく、基本はソロプレイを楽しむコンセプトで作られているというところに首をかしげている人も多いだろう。

 だが、このシリーズはもともと「RPG」と「シミュレーション」を融合させた「リコエイションゲーム」という位置づけになっている。気軽に遊べる『大航海時代』」として開発された本作では、「交易」や「海戦」といった航海シミュレーション要素こそライトになっているものの、プレイスタイルの自由度が高いため、歴史的なifを楽しんだり、気ままに世界中の港に停泊して過ごしたりと、大航海”時代”そのものを楽しむという意味では、これまでのタイトル以上だ。

▲海戦シーンは完全3Dなので、演出や表現力はコンシューマー向けの過去作とは比べ物にならない。


▲やわらかいタッチで描かれた”飽きない”背景絵や、疲れないBGMもかなりポイントが高い。さまざまな国をまわって、当時の町並みを眺めながらゆっくり停泊するのもいい。


 ということで、これまでこのシリーズを遊んでこなかった人に、特に本作をオススメしたい。他のプレイヤーとの競争を強いられないので、自分のプレイスタイルに応じた心地よい目標設定が可能だ 。

 もちろん、これまでになかった新要素もたくさんある。本作では、キャラクター(一部の航海士)ごとに「列伝クエスト」が用意されており、すぐれた航海士を集める以外にも、シナリオやクエストを増やすため、そしてそうした物語を通じて気に入った航海士を探すという点でも、ガチャを引く楽しみがある。

 また手に入れた海図によって世界中の地理が決まるというのも本作の魅力だ。まだ世界が未開の地が溢れていたころの、その時代のあいまいな地図をつなげて、自分だけの世界を作ることも可能なのだ。

▲同じ海域でも、海図が変われば特産品や交易ルートも変わる。海図は自由に差し替えられる。


▲アップデートで新キャラクターが追加されれば、当然列伝クエストも増える。気楽に長く遊びたい人に最適のゲームだ。


 プラットフォームの性能を活かすことを宿命付けられたゲーム業界のジレンマが、手軽に遊べるアプリゲームの開拓をうながした部分も少なからずあるわけで、そういう意味でも『大航海時代V』は、まさに現代の”波”に乗ったタイトルと言える。

 10年前に発売された、公式的には最後のリコエイションゲーム『太閤立志伝V』は、明智光秀の足利幕府の再興や、豊臣秀次の関白継承など、戦国ロマンを大いに味わえる作品だった。この『大航海時代V』でも斬新でむちゃくちゃな歴史的なifやロマンを楽しめる追加イベントやシステムに期待しよう。
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