KADOKAWA、Webサービス事業の構造改革で営業利益200%増の80億円 2020年3月期決算

KADOKAWA

新型コロナウイルス感染症の影響で劇場作品が苦戦も、電子書籍やアニメの海外向け権利許諾の販売好調で業績に貢献。

株式会社KADOKAWA(以下、KADOKAWA)は、2020年3月期決算(連結)を5月14日(木)に発表した。当期における業績は、売上高2046億5300万円(前期比1.9%減)、営業利益80億8700万円(同198.7%増)、経常利益87億8700円(同108.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益80億9800万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失40億8500万円)だった。

KADOKAWA 決算

経営成績に関する説明

KADOKAWAグループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で、各セグメントにおいて売上や利益の減少があった。

KADOKAWA 新型コロナウイルス感染症

一方で、動画コミュニティサービスや各種イベントの運営などを行なうWebサービス事業において構造改革を実施したことにより、グループ全体の収益性が大きく改善した。

セグメント毎の業績は以下。

出版事業
書籍、雑誌及び電子書籍・電子雑誌の販売、雑誌広告・Web広告の販売、権利販売などを行なっている。メディアミックス展開の重要な源泉として年間5000タイトルにおよぶ新作を継続的に発行しており、蓄積された紙書籍11万点、電子書籍6万点にもおよぶ作品アーカイブがグループ成長の原動力になっている。

当期の主な新規刊行作品では「ファイブスター物語」や「ダンジョン飯(コミックス)」「ソードアート・オンライン キス・アンド・フライ」「小説 天気の子」「AX アックス(一般文庫)」「はじめてのやせ筋トレ」などの販売が好調だった。

電子書籍や電子雑誌は、市場動向を踏まえた機動的なマーケティング施策が奏功したことで好調に推移し、当期は過去最高の売上高になった。

KADOKAWA 電子書籍

セグメント費用については、業界構造の変化により物流費が増加したほか、2019年7月1日に実施した会社分割によるグループ再編の影響で、全社費用に計上していた費用約6億円を出版事業に計上している。

上記の結果、売上高は1173億300万円(前期比1.2%増)、セグメント利益は62億4800万円(同13.9%減)となった。

KADOKAWA 出版

映像・ゲーム事業
映画の企画や製作、配給、映像配信権等の権利許諾、パッケージソフトの販売、ゲームソフトウエア及びネットワークゲームの企画から販売、権利許諾等を行なっている。

映像は、北米や中国に向けにアニメ「オーバーロード3」や「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」などの海外権利許諾による収入が好調に推移している。

IPを活用し、他社が配信するオンラインゲームとのコラボレーションによる権利許諾などが収益に貢献した。

一方で、2020年3月公開の映画「Fukushima50」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、一部地域の映画館の休館などの影響を受けたことで想定を下回る結果になった。

ゲームは『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』が、国内外共に引き続き好調に推移し、大きく収益に貢献した。本タイトルは、アメリカで開催された「The Game Awards 2019(2019年12月12日開催)」において、年間最優秀作品賞である「Game of The Year(GoTY)」を受賞した。その一方で一時的な費用増があった。

上記の結果、売上高は483億1400万円(前期比0.04%増)、セグメント利益(営業利益)は34億100万円(同13.2%減)となった。

KADOKAWA 映像ゲーム

Webサービス事業
動画コミュニティサービスの運営、各種イベントの企画や運営、イベント会場の賃貸、モバイルコンテンツの配信などを行なっている。

動画配信サービス「ニコニコ動画」の月額有料会員(プレミアム会員)は、当期末に163万人(前期末は180万人)となった。動画や生放送、ブログなどを配信できるプラットフォーム「ニコニコチャンネル」の有料会員数は当期末に117万人(前期末は95万人)に増加し、順調に成長している。2019年4月に開催したグループ最大のイベント「ニコニコ超会議2019」では、会場来場者数16万8248人と過去最高を記録した。

アニソンライブでは、8月から9月にかけて開催した「Animelo Summer Live 2019 -STORY-」において、3日間で前年を上回る8万4000人が来場した。

11月1日には池袋にサテライトスタジオ「ハレスタ」をオープンした。ネットとリアル、バーチャルの融合を実現するため、スタジオ技術や演出面で蓄積した制作ノウハウを集約し、最新鋭の技術とインターネットを駆使したバーチャルキャラクターによるライブパフォーマンスやアニメ・ゲーム関連のステージイベントなど幅広いコンテンツを発信していくとのこと。

また、前期から株式会社ドワンゴ(以下、ドワンゴ)において事業構造改革を推進し、外注費、通信費などを中心に費用が減少した。

上記の結果、売上高は247億3900万円(前期比4.3%減)、セグメント利益は27億8800万円(前期は営業損失25億7600万円)だった。

KADOKAWA webサービス

その他事業
教育事業やインバウンド関連事業、キャラクターグッズ及びアイドルCDの企画・販売などのMD事業を行なっている。

教育事業は、スクール運営を行う株式会社バンタン、ドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。

インバウンド関連事業では、ところざわサクラタウンでの新規事業に向けた先行投資を行なった。

MD事業では、主に前期に販売されたアイドルCDの反動により減収となった。

上記の結果、売上高は194億9700万円(前期比12.0%減)、セグメント損失は25億8300万円(前期は営業損失26億1300万円)だった。

KADOKAWA その他

関連サイト

株式会社KADOKAWA公式IRサイト
2020年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)
2020年3月期通期決算説明資料

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