2020年調査でランクインしたコンテンツの共通点は、デジタルからアナログまで様々なプラットフォームに接点が用意されていること。
株式会社博報堂と株式会社博報堂DYメディアパートナーズの共同研究プロジェクト「コンテンツビジネスラボ」は、毎年実施している全国調査「コンテンツファン消費行動調査」を実施し、そのデータをもとに、音楽やマンガなどの全11カテゴリ計1000以上のコンテンツに関する「リーチ力・支出喚起力*ランキング」を算出した調査レポートを発表した。
2020年調査における「リーチ力・支出喚起力ランキング」によると、新たにランクインしたコンテンツに共通するのは、「デジタルからアナログまで様々なプラットフォームにそのコンテンツとの接点が用意されている」ということ。
2019年の調査結果である「ストリーミングサービス・動画サービスの活況を背景に、音楽コンテンツが上位を占める」と同様、ストリーミングサービスで火がつき、NHK紅白歌合戦への出場に至ったOfficial髭男dismや菅田将暉、King Gnuがリーチ力ランキングの上位に入った。彼らは、リリースする楽曲の多くが映画やドラマの主題歌、CMソングに起用されたり、メンバーがラジオのパーソナリティをつとめたり、ファッションアイテムとのコラボレーションなど、デジタルプラットフォームサービスの他にも、ハマるきっかけになる入口が多数用意されているという共通点があった。
また、大ヒットマンガ「鬼滅の刃」に関しても、リーチ力と支出喚起力でともに上位にランクインした。
「鬼滅の刃」は、日本でサブスクリプション(以下、サブスク)サービスの利用者が拡大するタイミングで、テレビアニメを動画サブスクサービスで配信し、アニメ視聴者以外のユーザーを獲得できたことに加え、著名人が作品を話題にしたり、単行本が発売されるタイミングで作品が視聴できる環境が整備されたことが、リーチ力の拡大につながったと考えられている。
また、アニメの続きがマンガでしか読めなかったため、マンガ本を購入するファンが多かったことが、支出喚起力の上昇につながった。アニメ主題歌であるLiSAの「紅蓮華」の大ヒットも、関連作品との相乗効果をうんだとのこと。
動画配信や電子書籍、音楽配信などのデジタルプラットフォームサービスについては、過去5年間の1人あたりの「平均利用サービス数」の推移をみると、2015年のNetflixのサービス開始、2016年のSpotifyのサービス開始などを転換点に、直近では平均8.0個と、利用サービスの数が大きく伸びていることがうかがえる。
このようなサブスクサービスやデジタルサービスの台頭により、音楽=CD、アニメ=DVD・Blu-rayといった限定的な支出カテゴリ以外への展開が伸びており、利便性や体験の質を求める人の増加により、デジタルチャネルへの対応も加速した。今後はこれらデジタルプラットフォームの活用が、さらなるリーチ力や支出喚起力に大きく影響することが予想されている。
デジタルサービスについては、新型コロナウイルス感染症の影響で、様々なコンテンツジャンルにおいて利用者の安全性に配慮した動きが加速するなかで、ライブ体験やライブコマース、投げ銭イベントが盛り上がりをみせはじめており、この傾向はしばらく続くとのこと。