東映、映画の公開延期やシネコンの営業休止で営業利益45%減の98億円 2021年3月期第3四半期決算

東映

建築内装事業の黒字転換も、コロナ禍で映像関連事業や興行関連事業、催事関連事業が苦戦。

東映株式会社(以下、東映)は、2021年3月期第3四半期決算短信(連結)を2月12日(金)に発表した。当第3四半期連結累計期間の売上高は761億7700万円(前年同期比29.0%減)、営業利益98億900万円(同45.4%減)、経常利益は122億3200万円(同41.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億5100万円(同59.4%減)となった。

東映 決算

経営成績に関する説明

東映グループは、自治体からの各種要請や政府により緊急事態宣言が発出されたことを受けて、劇場用映画の公開延期やシネコン等の営業休止、イベントの中止などの対応を講じてきたが、緊急事態宣言解除後は新型コロナウイルス感染症の拡大防止策を徹底し、映像関連事業を中心により一層のコンテンツ事業の強化、効率的な活用につとめるなど、堅実な営業施策を行なってきた。

映像関連事業
映画事業では、提携製作作品である「サイレント・トーキョー」や「映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日」など、16作品を公開したが、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」などの当第3四半期連結累計期間において配給予定だった一部劇場用映画は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で公開延期となった。

ビデオ事業では、主力の劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品に加えて、テレビ映画のDVD・ブルーレイディスク作品を販売した。

テレビ事業では、「相棒season19」「科捜研の女」「仮面ライダーセイバー」などを制作し、作品内容の充実と受注本数の確保につとめた。キャラクターの商品化権営業に関しては、玩具の小売販売が厳しい状況におかれているが、堅調に推移した。

コンテンツ事業では、劇場用映画などの地上波・BS・CS放映権とビデオ化権の販売に加えて、VOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツを販売した。アニメ関連では、「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売や「劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向け許諾が好調だった前年同期の勢いには至らなかったが、北米向け劇場上映権、北米・アジア向け映像配信権の販売が好稼働した。

上記の結果、売上高は583億4900万円(前年同期比17.9%減)、営業利益は122億9900万円(同17.9%減)となった。

興行関連事業
映画興行業では、自治体による休業要請や政府が発出した緊急事態宣言を受け、4月から5月にかけ東映直営館と株式会社ティ・ジョイ(以下、ティ・ジョイ)運営のシネコンの営業を全国的に休止した。営業再開後は、新型コロナウイルス感染症対策の一環で座席制限を行なう中、他社配給作品が好調だったそうだ。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による損失は大きく、さらに収束の兆しもみえないことから、業績回復には相応の時間を要すると想定している。

また、2020年6月24日にティ・ジョイ運営のシネコン「T・ジョイ横浜」(9スクリーン)が開業し、214スクリーン体制(東映㈱直営館4スクリーン含む)で展開している。

上記の結果、売上高は83億2500万円(前年同期比53.0%減)、営業損失は9億8900万円(前年同期は営業利益19億8500万円)だった。

催事関連事業
催事事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でキャラクターショーや文化催事、舞台演劇等が相次いで中止を余儀なくされるなど、大変厳しい状況だったとのこと。また、緊急事態宣言の対象が全国に拡大された4月中旬以降は、シネコンなどが全国的に臨時休業したことで、劇場映画関連商品の販売についても大幅な減収となった。7月以降は舞台「死神遣いの事件帖-鎮魂侠曲-」などが堅調に稼働したが、新型コロナウイルス感染症の収束時期が不透明であることから、直近での業績回復は難しいと想定している。

東映太秦映画村は、前期の3月から引き続き、6月中旬にかけて新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休業した。10月3日に「エヴァンゲリオン京都基地」をグランドオープンしたが、入場制限を行なわざるを得ず、今後も厳しい状況になると予想している。

上記の結果、売上高は22億3200万円(前年同期比66.7%減)、営業損失は6億6100万円(前年同期は営業利益12億2800万円)だった。

観光不動産事業
不動産賃貸業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一部テナントの家賃減免や賃料改定、支払猶予などの対応を余儀なくされ、「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」などの賃貸施設は売上が減少したが、将来見通しが立ち辛い現状の中、堅調に稼働した。

ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響でインバウンド需要が低迷するなど、非常に厳しい経営環境だった。7月よりスタートした「Go To トラベル事業」の追い風を受けたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でキャンセルが相次ぎ、業績を回復するには至らなかった。

上記の結果、売上高は37億1400万円(前年同期比23.3%減)、営業利益は10億9600万円(同45.6%減)だった。

建築内装事業
公共投資は底堅さを維持しているが、技術労働者の不足や建築資材価格の高止まりなど、依然として厳しい経営環境が続く想定とのこと。当第3四半期連結累計期間は、厳しさを増す受注環境にありながら、従来の顧客の確保と受注拡大を目指して積極的な営業活動を行ない、シネコンや商業施設の内装工事などを手掛けた。

上記の結果、売上高は35億5500万円(前年同期比48.6%減)、営業利益は1億600万円(前年同期は営業損失1億5600万円)だった。

関連サイト

東映株式会社公式サイト
2021年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

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