エイチーム、ゲーム事業の売上減少で減益 営業利益7億円 2021年7月期決算短信

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新規ゲームの開発費の計上でエンターテインメント事業の利益が半減。主力のライフスタイルサポート事業でも広告費の増加で利益微減。

株式会社エイチーム(以下、エイチーム)は、2021年7月期決算短信[日本基準](連結)を9月10日に発表した。当連結会計年度の売上高は312億5200万円(前連結会計年度比1.5%減)、営業利益は7億100万円(同44.9%減)、経常利益は8億9500万円(同28.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億7700万円(前連結会計年度は5億1900万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となった。

エイチーム2021年7月期決算短信

経営成績の説明

エイチームグループは「みんなで幸せになれる会社にすること」、「今から100年続く会社にすること」を経営理念としている。

この経営理念のもとすべての役員及び従業員が一丸となり、様々な技術領域・ビジネス領域において、インターネットを通じて個人の利用者の皆様に支持・利用してもらえるゲームコンテンツ、比較サイト・情報サイトやECサイトなどの企画・開発及び運営を行なっている。

具体的には、「人と人とのつながりの実現」をテーマに、世界中の人々に娯楽を提供するゲームやツールアプリケーションの企画・開発及び運営を行う「エンターテインメント事業」、人生のイベントや日常生活に密着し、有益な情報を提供する様々なウェブサービスの企画・開発及び運営を行う「ライフスタイルサポート事業」、自転車専門通販サイトを運営する「cyma-サイマ-」をはじめ、様々な商材を取り扱う複数のECサイトの企画・開発及び運営を行う「EC事業」の3つの事業軸でビジネスを展開している。

2021年7月期の連結売上高は、EC事業においてオペレーション効率の改善を実施したことにより、前期比で増加するも、エンターテインメント事業において既存タイトルが引き続き減収となり、前期比で微減となった。営業利益及び経常利益については、EC事業の売上高増加に伴う利益が増加したものの、エンターテインメント事業における新規ゲームの開発費を先行して計上したため、前期比で減少した。親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度において、Increments株式会社に係るのれん及び商標権の減損損失を計上したが、当連結会計年度においては投資有価証券の売却益の計上により、前期比で増加となった。

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当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は以下のとおり。

エンターテインメント事業
エンターテインメント事業では、主にエイチームで開発したスマートデバイス向けゲームアプリケーション(以下、ゲームアプリ)をApple Inc.が運営するApp Store及びGoogle LLCが運営するGoogle Play等の専用配信プラットフォームを通じて、世界中の人々に提供している。ゲームアプリ自体は基本無料で提供しており、主な売上はユーザーがゲームをより効率よく優位に進めるためのアイテム購入代金となっている。

近年のグローバルにおけるゲーム市場環境及びユーザーニーズの変化、そして技術の進化等を踏まえ、エンターテインメント事業はスマートフォンゲーム専業から脱却し、グローバルのデジタル配信ゲーム市場(モバイルゲーム、PCゲームデジタル配信、家庭用ゲームデジタル配信)全体をターゲットに、グローバルで人気のIPと連携し、展開することを中長期方針とし、さらなる成長を狙う。

2021年7月期においては、売上高については引き続き既存ゲームが減少傾向にあり、前期比で減少となった。セグメント利益については、既存ゲームアプリの効率的な運用をしつつも、株式会社スクウェア・エニックスとの共同開発による、グローバル市場を対象としたスマートデバイス向けアプリ『FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER(ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー)』の開発費を計上しているため、前期比では減少となった。

以上の結果、当連結会計年度におけるエンターテインメント事業の売上高は72億7200万円(前連結会計年度比13.9%減)、セグメント利益は3億6900万円(前連結会計年度比52.4%減)となった。

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ライフスタイルサポート事業
ライフスタイルサポート事業では、様々な事業領域において個人の利用者に向けてサービスを展開する事業者と提携し、「三方よし」のサービス理念のもと、人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト・情報サイト等様々な便利なウェブサービスを展開している。

2021年7月期より、「プラットフォームビジネス」において展開していたヘルスケア領域のEC(「minorie」等)を「その他」と区分し、サブセグメント区分を「デジタルマーケティング支援ビジネス」、「プラットフォームビジネス」及び「その他」の3つに変更した。

「デジタルマーケティング支援ビジネス」は、オウンドメディア等を通じて、提携事業者へ見込顧客を送客するデジタルマーケティング支援を中心に、スピーディに事業を横展開できる特徴を持っている。多様な事業領域におけるサービスを急速に立ち上げ、拡張させることで、収益を積み上げるビジネスモデルとなっている。個人の利用者へは基本無料で提供しており、主な売上はパートナー企業に当該利用者を見込顧客として紹介することに対する紹介手数料及び成約報酬となっている。

「プラットフォームビジネス」はアプリケーションやウェブサイトなどを通じて情報を集めた「場」を提供し、ユーザーデータの蓄積と活用、そして独自価値の向上により、市場での優位性を構築し、さらにデータを活用したソリューションを提供することで、価値向上のサイクルをはかっていくビジネスモデルとなっている。主な売上は広告収入や有料会員向けの利用料、ツールやEC等のソリューション提供によるもの。

2021年7月期は、売上高については、主に結婚式情報サイト「ハナユメ」が引き続き新型コロナウイルス感染症の影響(以下、コロナ影響)により前期比で減少したものの、引越し比較サイト「引越し侍」の繁忙期が堅調に推移したことにより、ライフスタイルサポート事業全体において前期比で微増となった。

セグメント利益については、「ハナユメ」の売上減少に伴う利益の減少に加え、2020年12月に行われたGoogleアルゴリズムアップデートによるキャッシング・カードローン総合検索サイト「ナビナビキャッシング」やクレジットカード総合検索サイト「ナビナビクレジットカード」のSEO(検索エンジン最適化)への影響が続き、リスティング広告への投資が増加したため、全体として前期比で減少となった。

以上の結果、当連結会計年度におけるライフスタイルサポート事業の売上高は203億8400万円(前連結会計年度比1.5%増)、セグメント利益は14億5000万円(前連結会計年度比23.5%減)となった。

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EC事業
EC事業では、自転車専門通販サイトを運営する「cyma-サイマ-」をはじめ、複数の商材を取り扱うECサイトを運営している。

「cyma-サイマ-」は2013年12月にサービスを立ち上げて以来、東海、関東、関西3カ所に物流倉庫を構え、国内外から仕入れた200種類以上の完成品自転車を専属のプロ整備士により整備を行ない完全組立自転車としてオンラインで販売、自宅まで届ける独自性の高い自転車専門通販サイトとなっている。今後も「ココロが動く買い物を」をミッションに、品揃えや販売方法、配送品質を日々改善し、ユーザーの期待を大きく超える購買体験ができるサービスの提供を目指していく。

2021年7月期においては、引き続きオペレーション効率の改善及び在庫管理の徹底、品揃えの見直し等が功を奏したことに加え、コロナ影響における「三密」を避ける外出手段として引き続き高い自転車需要が追い風になるとともに、2021年7月期下半期より、タレントを起用したマスプロモーションを実施し、前期比で売上増収、セグメント利益も大幅に改善し、はじめての通期黒字化を達成することができた。

引き続き「cyma-サイマ-」の安定的な事業成長を実現するとともに、2021年8月30日より新たに国内素材調達・国内生産、合成添加物を使わないことにこだわったヒューマングレードドッグフード「Obremo(オブレモ)」をリリースし、今後は複数商材での成長を目指していく。

以上の結果、当連結会計年度におけるEC事業の売上高は35億9500万円(前連結会計年度比12.5%増)、セグメント利益は8400万円(前連結会計年度は4300万円の損失)となった。

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関連リンク

株式会社エイチーム
2021年7月期決算短信[日本基準](連結)
2021年7月期 決算説明資料

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