◆カジュアルゲームとスマホゲームの祭典「カジュアルコネクトアジア」が開幕
カジュアルゲームとスマホゲームに焦点を当てたゲームイベント「カジュアルコネクトアジア」が5月19日から21日までシンガポールで開催されている。日本のスマホゲーマーにとっても見逃せない存在になりつつある本イベントについてレポートしよう。
カジュアルコネクトとは、その名の通り「カジュアルゲームの業界関係者がコネクト(交流)するイベント」のことで、主催のカジュアルゲーム協会は米バージニア州スミスフィールドに拠点を構えている。カジュアルゲームはコアゲーマー向けのゲームと対極にある概念で、PCのブラウザ上で遊べるパズルゲームなどから端を発しており、今ではスマホやタブレット向けのゲームまで範囲を拡大中。明確な定義はないが、ざっくり「家庭用ゲームやPCのスタンドアロン&オンラインゲーム以外」が対象と捉えれば良いだろう。
カジュアルゲーム協会が発足したのは2005年のことで、ほどなくカジュアルコネクトがスタートし、今では年に4回(アムステルダム、シンガポール、サンフランシスコ、テルアビブ)世界中で開催されている。会場は業界に関するさまざまな知見が共有される講演エリアと、企業ブースや地元のインディゲームが並ぶエキスポエリアに分かれており、のべ7500社が参加する一大イベントにまで成長した。中でもシンガポールはモバイルゲーム市場が急成長するアジア太平洋地域の中核都市であるため、大きな注目を集めている。
本イベントの対象者はカジュアルゲームのデベロッパー、パブリッシャー、ツールやミドルウェアベンダー、そしてインディゲーム開発者などで、パスの価格は3日間で400ドル(約4万円)と高額だ。そのため会場も業界関係者がほとんどで、そこかしこで商談を行う姿がみられた。日本からの出展や参加も年々増えており、今年はディー・エヌ・エー、セガネットワークス、アドウェイズ、メタップス、サイバーステップ、GMOテックなどがエキスポゾーンでブースを構えた。
他に地元シンガポールをはじめ、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、台湾など、東南アジア全域から90以上のインディゲーム団体が作品を出展。そのうちPCゲームが半分、スマホ&タブレットゲームが約半数で、Gear VR対応の作品も一作ほど見られた。ゲームエンジンではUnityが圧倒的だが、FlashゲームをAdobe Aiでスマホ向けに移植したタイトルもみられた。このほかIBMがクラウドサーバのソフトレイヤーを打ち出したブースを中央に構えていたのが印象的だった。
講演では例年にもましてインディゲームに焦点が当てられていたのが印象的だった。基調講演に相当する初日の冒頭講演で、「クロッシーロード」の共同開発者であるマット・ホール氏が講演を行ったからだ。クロッシーロードは画面をタップしながらハイウェイを横断するアクションゲームで、往年の名作『フロッガー』を彷彿とさせる内容。ゲームの中核部分はわずか2名で開発され、広告収入と課金アイテムで最初の90日間で12億円を稼ぐ大ヒット作となった。
本作はオーストラリア在住で39歳のホール氏と24歳のアンディ・サム氏のコンビで開発され、ホール氏にとっては5作目のゲームにあたる。ホール氏は「全員に向けて作られたゲームは誰も対象としていないのと同じ」と語り、ゲームの対象者を明確にして開発する姿勢を強調。「プレイして誰かに話したくなるような内容にすることが重要だ」とも語り、2013年にリリースされて大ブレイクしたタップアクションゲーム『フラッピーバード』に影響を受けたと話していた。