【カジュアルコネクトアジア】日本のゲームが大好き! 逆転の発想が光る『Kill the Plumber』開発者インタビュー

タイトル画面
▲『Kill the Plumber』はまだ未配信のタイトル。数ヶ月以内にリリースしたいとのことだ。

Android版リリース! 『Kill the Plumber』のダウンロードはコチラ

 一見すると『スーパーマリオ』風のゲームながら、敵キャラクターになって主人公を倒すという『Kill the Plumber』。逆転の発想が光るアクションゲームで、細部までよく練られている良策だ。日本のゲームが大好きという制作者のバリ・シルヴェストル氏にインタビューを行った。

『Kill the Plumber』PV

――自己紹介をお願いします。

バリ フィリピンのインディゲーム開発者で、バリ・シルヴェストルです。5年前にインディになって以来、大量のFlashゲームやモバイルゲームを作ってきました。自分自身ハードコアゲーマーで、中でも子どもの頃に遊んだ『スーパーマリオ』シリーズのような、プラットフォーマータイプのゲームが大好きです。自分のテクニックが活かせるようなゲームも好きですね。

バリ・シルヴェストル
『Kill the Plumber』製作者 バリ・シルヴェストル氏

――なぜインディになろうと思ったのですか?

バリ うーん……いってみれば、ゲーム開発について独学で学び始めたとき、インディになったと言えるでしょうね。おかげさまで最近では業界のことが多少はわかるようになってきました。いろいろ考えて「自分が遊びたいゲームを作る」ためにインディのままでいようと決めました。

――それはすごいですね。ちなみに『Kill the Plumber』は第何作にあたるのですか?

バリ いや、もう数え切れないくらいゲームを作ってきました。その中でも『Kill the Plumber』は自分にとって大作モバイルゲームの三作目にあたります。ちなみに一番ヒットしたのが『Pretentious Game』なんですよ。他にもいくつかヒットしたFlashゲームがあります。

『Pretentious Game』

――なるほど、シンプルですがおもしろいゲームばかりですね。ちなみに『Kill the Plumber』のブラウザ版では、プレイヤーからどんなリアクションがありましたか?

『Kill the Plumber』ブラウザ版URL
http://www.kongregate.com/games/keybol/kill-the-plumber

バリ マーケットリサーチの一環としてFlashの無料ゲームとしてリリースしたんですが、ゲーマーからも批評家からも非常に良い反応がありました。さまざまなサイトで紹介されて、すごく高いリテンションがありましたね。Youtubeでいくつかトレーラーをアップロードしたところ、のべ何百万回という再生数を数えました。

――それでモバイル版を出そうと決めたのですね。

バリ その通りです。スマホ版は内容をもっと拡充して、ステージ数を増やします。

――ちなみに、ゲームはお一人で作るのですか?

バリ アーティストのイザイ・アミノフと二人で作っています。ちなみにイザイはアメリカ在住のロシア人アーティストで、インターネット上でコラボして作っています。オーディオは外注していますが、他はほとんど二人で作っていますよ。

――なにかゲームエンジンやミドルウェアを使っていますか?

バリ 最初にFlashで作って、そこからAdobi AirでiOSとAndroid、それからPC向けにポートしています。物理演算にはWCKとBox2Dを使っていますね、(参考:http://www.sideroller.com/wck/

プレイ画面

――開発にはどれくらい時間がかかっていますか?

バリ α版(プログラミングと最初のステージ)に3週間、β版(スマホ向けにポートして、48個の新しいステージを追加)までさらに3週間でしょうか。製品版はiOSとGoogle Playで7月にリリースする予定です。ある程度まで無料で遊べて、課金すれば追加ステージがアンロックされる形にしようと思っています。

――そもそも、どうして『Kill the Plumber』を作ろうと思われたのでしょうか? 何かきっかけはありましたか?

バリ なにより『スーパーマリオ』シリーズや他のプラットフォーマーゲームの大ファンだったんです。このゲームはそうした偉大な作品群に対して、自分なりの敬意を表したくて作りました。また敵と味方を逆転させるアイディアを以前から温めていたこともありました。実際に『アングリーバード』スタイルのゲームで、ブロックを組み合わせてブタのキャラクターから陣地を守るようなゲームを作ったこともありました。

――作っていて一番大変だったのはどういったところでしたか?

バリ ゲームデザインとレベルデザインが一番大変でした。アイディアはシンプルだったんですよ。さまざまなタイプの敵キャラクターになって主人公を攻撃するという。でも、それをどうすれば楽しいものにできるか。そして、どうすれば楽しさを的確にプレイヤーに伝えられるか。プロトタイプまで2週間くらいかかりました。『メイドインワリオ』シリーズや、プラットフォームスタイルのアクションパズルなどが参考になりました。

ボス操作

――ブラウザゲームからスマホゲームにポートする際に、何か問題はありませんでしたか? バーチャルコントローラーの追加とか……

バリ そこはそんなに苦労しなかったんですよ。というのも以前『Pretentious Game』をブラウザゲームからスマホ向けに移植した際に経験済みでしたからね。もちろん『Kill the Plumber』にあわせて最適化する必要はありましたが、そこはビットマップの修正レベルですみました。

――何か自治体やパブリッシャーからサポートはありましたか?

バリ 特にありません。自宅で作業して、すべて自分の手で作っています。

――『Kill the Plumber』で特にアピールしたい点は何でしょうか?

バリ レトロスタイルのゲームをベースに、ひねった感じの内容にしているところですね。レトロゲームってボスキャラクターの話で盛り上がったりするじゃないですか。そこをゲームにしてみたという感じです。あとものすごい量のレベルデザインが入っている点もアピールポイントです。とにかくプッシュしたいことだらけなので、ぜひ実際に遊んで見て下さい。

迷宮ステージ

――日本のゲームに対してどのような印象を持っていますか?

バリ 日本のゲームが大好きです。日本にはすごいゲームがたくさんあって、しかも日本語でしか遊べなくて、すごく羨ましいんですよ。これまで任天堂のゲームをたくさん遊びましたし、日本のゲーマーコミュニティも大好きです。実は東京ゲームショウ2013に一般客として参加したこともあるんです。その時もすごく良かったですね。

――ありがとうございました。最後にひとことお願いします。

バリ このような機会を与えてくださって、本当にありがとうございます。子どもの頃から日本のゲームシーンについて情報を追いかけてきていて、自分が日本のメディアに掲載されるなんてすごく嬉しいです。『Kill the Plumber』も日本の方が遊んで、ちょっとは喜んでもらえる内容に仕上がっているのではないでしょうか。ちなみにブラウザゲーム版を最後まで遊んでもらえたら、自分たちのクレジット表記が日本語っぽく掲載されているのがわかると思います。ぜひチェックしてみてください。

イメージ画像