【台北ゲームショウ2015】台湾インディーゲーム期待の星によるダークファンタジー『Project Legion』

 2013年の東京ゲームショウ・インディーゲームコーナーで颯爽とデビューし、そのユニークなゲーム内容と卓越した日本語ローカライズで一部好事家の注目を集めた『JADE NINJA』。その開発元であるMONKEY POTIONが最新作『Project Legion』を発表した。前作はニンジャが主人公の「ほのぼの系カジュアルゲーム」だったが、今作はモンスターの軍団を育てて人間界に殴りこみをかけるダークファンタジー。まだアルファ版だったが、インディーゲームの常識を超えるガッツリした作りこみに驚かされた。

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 ゲームは村ゲーとカードバトルを組み合わせたような、これまでにないスタイルだ。プレイヤーはモンスター軍団の隊長としてベースキャンプを発展させ、配下の軍団を育成しながら、人間に生存圏を脅かされている他のモンスターの拠点を解放していく。バトルに勝てば経験値とお金が入手でき、ベースキャンプの施設が充実し、より強力な軍団を指揮できるようになる。ゲームはこの繰り返しで進んでいき、人間・エルフ・ドワーフの拠点を攻略することが目標だ。

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 バトルは最大6ユニットからなる軍団同士で行われ、ターンベースで行われる。ひとつのユニットは指揮官と部下たちの組み合わせで構成され、指揮官ごとに固有のスキルが存在する。攻撃をするたびにエネルギーがチャージされ、それぞれ必要なエネルギーを消費してスキルを繰り出す仕組みだ。相手の軍団を全滅させれば勝利で、部隊が成長していく。指揮官と部下の組み合わせはさまざまで、プレイヤーごとに異なる軍団を育成できる(最強の軍団が一種類とは限らない)という。

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 逆に通常のRPGに見られる、街で情報収集をしたり、荒野を自由に移動したり、ダンジョンを探索したり、特定のパーティメンバーと行動をともにすることで親密度がアップして特別なイベントが発生する……なんて要素はバッサリと省略した。その一方で育てた部隊をオンライン上で、他のプレイヤーと対戦させる(この場合はオートバトルのみ)機能は実装される予定だ。どちらかというとボードゲームやカードゲームのデザインにも親しい内容で、開発チームも『ウォーハンマー』シリーズなどに影響を受けたと話していた。

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 ゲームデザイナーのマット・ワンさんは「前作は日本市場がメインだったが、今作はアメリカ市場向けに切り替えた」と語る。ビジネスモデルはF2P(基本プレイ無料)だが、日本的なイベントドリブンのゲームデザインや課金モデルではなく、海外のタイトルで一般的な「クリアが難しければ課金」的なものだ。ダークファンタジーを題材にしたのも欧米圏で定番のテーマだから。バトルを繰り返しながらストーリーを進めていくスタイルで、一人用でかなりガッツリと遊び込める作りになるという。

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 もっともMONKEY POTIONのメンバーは5人で、アーティストとプログラマーが2人ずつ、ゲームデザイナーが1人だ。ゲームエンジンは使用せず、内製エンジンをベースに開発中。にもかかわらず開発期間は約1年だという。モンスターはゴブリンからスタートして、オーク、バンパイアなど100種類以上。スキルは70種類以上で、村の施設は15種類程度とのことだ。とても5人では手が回らないのではないかと思われるが(出展版もバトルデモ中心の限定的な内容だった)、すでに台湾大手のユーザージョイと共同開発の契約を結んでおり、デバッグやバランス調整、ローカライズなどを委託していると聞き、腑に落ちた。

 なんといっても、わずか2作目でこのボリューム、このクオリティという点が秀逸だ。文字通り台湾インディーゲーム界の最注目タイトルのひとつなのだが、残念なのは日本での配信予定が立っていないこと。日本での協業先は(MONKEY POTION側では)不明とのことだが、こうした骨太のゲームがプレイできないのはあまりに惜しい。相応のローカライズコストが発生しそうだが、いい形に進展することを期待したい。

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