◆いきなり空から家が降ってきた!
物語は主人公の女性・水華が大学に入学するところから始まります。ちなみに水華は“みずか”と読みます。“すいか”じゃありませんのでお気を付けください。水華は身長201センチ(でか!)で第一回全日本女子格闘大会準優勝経験があるそうです。
ところでこの『空の浮動産』の公式サイトやPVを見ていただくとわかるのですが、ゲームについても水華についても繰り返し“萌えません”と書かれております。まあ、確かに水華はあんまり萌えるタイプじゃありません。どっちかっていうと何かある度に腕力に訴える非常に暴力的なヒロインです。そんな水華を“すいか”と呼ぶのが織絵冬星という男の子で、水華の中学時代のクラスメイトです。ちなみにこちらは“おりえとうじ”と読みます。
たいした勉強もしないで大学に入った水華が通うのは法学部……だと思いきや、なんと“魔法学部”だったのです。そう、実はこれ魔法学園ものなのです。そんな世界なので空から家が降ってくるのも朝飯前(?)、そこから登場したのが、水華達に法学を教えてくれる花水木秋駿教授。そして1学年先輩であるもうひとりの法学部生の春川春菜、この4人を中心に物語は進んでいきます。
ところでこのゲーム、マニュアルが非常に充実しております。基本操作方法は当然ですが、“購入者様へのご挨拶”から“違法に入手された方へのご挨拶”、果ては“ネタバレについてのご協力お願い”なんて項目まであります。ゲーム全体に流れるテイストがこれだけでなんとなく伝わってくるんじゃないでしょうか。
◆ANOSというシステムが物語のキモを握ります
基本操作は画面をタップするだけ。それだけで物語が進んでいきます。あとはいくつかの選択肢選択があるだけのごく普通のアドベンチャーです。しかし、途中で水華は教授からあるものを手に入れます。あるものとは―――「ANOS」! こちらは“ANgel Omnipotent Stone”の略となっておりまして、直訳すると“天使たちの万能石”ってところでしょうか。
このANOSは同時にこのゲームの根幹を担うシステムでもあるのです。そのシステム名とは―――「Advanced Novel Operation System」! こちらも直訳すると“高度な小説オペレーションシステム”ってそのまんまですが、このANOSによって、水華は(というかプレイヤーは)さらなる謎を解くことができるようになるのです。
もうちょっと詳しくANOSの使い方を説明しましょう。物語中、水華が気になった内容(キーワード)が赤くマーキングされます。この赤くなった文字はANOSに保存され、画面を右スワイプするか、電球アイコンをタップすることでいつでも見ることができます。
ところで水華は非常に忘れっぽいです。必要にも関わらず水華が忘れてしまった記憶をタップしてセレクトすると、“憶”というアイコンが点灯します。これが記憶をセットした状態です。この状態でゲームに戻り、物語を進めると、今まで解けなかった謎が解けたり、誰かが特別な行動を起こしたり……というわけです。ちなみにセットする記憶を間違えると、最悪ゲームオーバー、そうでなくても物語はループし続けます。同時にこのシステムのおかげで水華は過去に戻り、色々とやりなおせるようになるのです。
正直に言いますね! このANOSをもらったときに花水木教授が一生懸命説明してくれているにもかかわらず、始め全然よくわかんなかったのですが、何回かああでもない、こうでもないとやっているうちに、それこそこのANOSアイコンのごとく頭の上に電球がつくように理解できました!
何が必要な記憶なのかはすべて物語中の会話に隠されています。物語を過去にさかのぼりながら、必要な記憶に気付くかどうか、そしてうまく記憶を選択できるかどうか、ぴったりと正解を選ぶことができた時のちょっとした達成感はくせになります。それはまるで記憶のパズルのようです。
◆そして物語は佳境に……この展開は燃える!
ネタバレ禁止! なのでその後の物語をお伝えはしませんが、後半、一気に物語が動き始めてからの展開は燃えます……! そしてちょっぴりですけど萌えもあります! その人がそうでしたか! とか、そんなことになっちゃうんですか! とか、どぎゃーんってなって、ざくざく行ってからのああああああもう! そう来るの!? マジで? やだー! という怒濤のエンディングまでをぜひANOSとともに楽しんでください。ちなみに、プレイ時間は謎解きを含めてみっちり8時間くらいはかかりました。これだけ楽しめれば満足です。
最後にひとつだけネタバレをしておきます。水華は断固拒否していましたが、羊羹に牛乳はあうので試してみてください。いやマジで。